さて、大方の予想を裏切って語りたいのが、この作者・大亜門の 『太蔵もて王サーガ』 である。
この人は最初の読み切りの時からネームの力が突出していた。
マンガで大切なのはやはり一番はビジュアル、つまり『絵』が上手いか下手かで別れるだろう。だからその点で云うなら正直、大亜門の絵は上手くない。だが、それらを補って余りある過ぎる力をこの方は持っているのだ。それはアイデアとネーム(台詞)である。しかも、ネームはその時代の波に乗ったとき、最大限の力を発揮する。
時代毎のギャグマンがに架せられた使命、それは時代を切り取ることである。いや、どのマンガでもそれは大なり小なりある事ではあるが、ギャグの鮮度は時代の欲する鮮度とうまく比例するからだ。
すなわち、
「永井豪」の『ハレンチ学園』『オモライ君』
「山上たつひこ」の『がきデカ』
「とりいかずよし」の『トイレット博士』
などなど枚挙に暇がないが、最近のギャグは『ピューと吹くジャガー』のようにシュールさが売りになりつつある。
そしてそこで僕がジャンプで押すギャグ漫画は、この作品なのである。
魔界から嫁を探して従者の悠と一緒に人間界へ降りてきた。と、物語の骨格はこれだけだ。しかし、その設定を自在にこなし強烈でキテるキャラクターを創造する事によって物語りは飛躍的に爆裂する。その人間界は学園で、しかもそこの不良である阿久津という常識あるツッコミが存在することによってギャグの質が格段にパワーアップする。
粗忽な(すみません)絵ながら既にボダーラインの10週を超え、何と26週を迎えている。凄い。この読者アンケート第1主義の週間ジャンプでは異例とも云える躍進ではないだろうか。
正直、毎回毎回、よく思いつくなという展開を持ってくる。
例を挙げると、第15章の「先生のお時間」のボケ突っ込みの応酬は、この漫画の真骨頂とも云える展開であった。
谷円 「このクラスの美術を担当する事になった谷円(たにまどか)だ。気さくに谷先生って呼んでくれ」
阿久津 「呼称自体は気さくじゃねぇな…」
谷円 「教育に科目の差なんてないぞ。美術だってきっとあんた達のためになる。美術を使うと人生楽しい ぞ」
阿久津 「使う?」
谷円 「そう、好きなあの子の裸を想像して絵を描いたり、嫌いなアイツそっくりの像を作って叩き壊したり
ね」
阿久津 「暗いよ!!!」
谷円 「錦鯉とかはペインティングで値を吊り上げたりもできるし」¥15,000→¥400,000
阿久津 「詐欺じゃねーか!!」
谷円 「砂絵で痒い所かくと気持ちいいんだぞー」
阿久津 「お前美術にあんま興味ねぇだろ!!」
見事なボケ突っ込みの完成形と云えるだろう。この力(魔法)が解けない限りこれからも大亜門の漫画はジャンプに載り続けるだろう。そして僕に「もてもて」の秘儀を教えてくれるのだろう(笑)
来週も「もてもて~♪」