2026年7月14日(火) 午後7時 サントリ-ホ-ル
第660回 読売日本交響楽団定期演奏会
指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
チェロ:ダニエル・ミュラー=ショット
読売日本交響楽団
コンサートマスター/林 悠介
曲目
■マトゥス:怒り狂う女
■ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
チェロ アンコ-ル
■J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番 より ジーグ
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■R. シュテファン:交響的楽章(1910年)
[日本初演]
■R. シュトラウス:交響詩『死と変容』
■ジークフリート・マトゥス(1934-2021):
怒り狂う女
ヴァイグレは旧東独ベルリン出身の指揮者なので東独の有名な作曲家ジークフリート・マトゥスの曲を紹介したようだ。
マトゥスはドイツ批評家協会から、「妥協やありきたりな表現に陥ることなく、一般の聴衆の耳(聴きやすさ)に歩み寄るという、類い稀な芸術的離れ業を成し遂げている」と評された。
『怒り狂う女』では金切り声の表現が顕著に目立つ。
『怒り狂う女』の木管の金切り声はムソルグスキ-の『はげ山の一夜』の出だしのクラリネットの金切り声の表現と似ている。
曲の最後のティンパニの締めはデュカス『魔法使いの弟子』の最後のようにわかりやすい。
打楽器フレクサトーンの震えるような響きは幽霊のようだった。
作曲者の作曲意図は
「音楽には不思議な魔力があると信じられています。だからこそ、この曲によってそんな『復讐の女神の悪霊』を退散させ、私たちの周りに愛すべき人々だけが残るようにしたいのです」
Siegfried Matthus: Furien- furies-Furioso für Orchester (1999)
■ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
チェロ:ダニエル・ミュラー=ショット
◇曲について
ピアノ協奏曲第1番でピアノの合いの手を入れるのはトランペットだが、この曲の第1楽章ではホルンが合いの手をいれる。
漫談のようにボケの合いの手を入れグロテスクなメロディ-に込められた皮肉を確認するかのようだ。
第2楽章は民謡的な哀愁を帯びた独奏が特徴。
第4楽章はスタ-リンお気に入りのジョ-ジア民謡が狂ったように演奏。
◇ダニエル・ミュラー=ショットの演奏について
チェロ独奏のダニエル・ミュラー=ショットはドイツ、ミュンヘン生まれ今年50歳。
若くから活躍が目立ち、ベルリンフィルなど有名オケとも共演。
往年の名チェリストでこの曲の献呈を受けたロストロポ-ヴィッチ(1927-2007)の重苦しい陰影の深い演奏とはまるっきり違う。
華やかで明るい美音が水準の高い技巧でダニエル・ミュラー=ショットから奏でられる。
使用チェロ1727年マッテオ・ゴリフラ-作「エクス・シャピロ」は心地良い明るい美音だった。
YouTubeを見ると演奏台は色々形状を変えているようだが今回は縦横サイズが大きめ。
共鳴板として積極的に響かせているようだ。
弓の張り方が強いのか音は少し飛び跳ねて聴こえた。
ショスタコーヴィチの重苦しい精神性はないが美音を強調した演奏でも違和感はなかった。
■R. シュテファン:交響的楽章(1910年)[日本初演]
シュテファン(1887-1915)はドイツ生まれの作曲家だが第1次世界大戦で20代で戦死。
作曲技法は凝っているが最後は繰り返してなかなか終わらず回りくどい。
次のR・シュトラウスの25歳作曲「死と変容」に比べるとメロディ-のチャ-ミングさはなく管弦楽法の上手さには差が大きい。
■R. シュトラウス:交響詩『死と変容』
ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲の名曲も霞むほど『死と変容』は名曲に感じた。
曲の意味を予習していなくても最後の弱々しいドラの音は死を意味することは容易に理解できた。
◇セバスティアン・ヴァイグレの指揮について
金管はトロンボ-ン、テュ-バの低音が支えとなり管弦楽は壮大に、しかし茫洋と響く。
音量的にはとても満足するが各楽器の音量が大きすぎて木管のソロが埋もれ気味になって曲のスト-リ-の変化があいまいに聴こえた。指揮者の楽器間の音量調整が必要に感じた。
◇演奏について
読響の金管のフルパワ-の演奏は聴きごたえがしてN響、都響同様に素晴らしい。
特にトロンボ-ン、テュ-バの迫力が目立った。
ティンパニ首席武藤厚志さんはお気に入りのティンパニ奏者、今回の演奏も迫力のある音に痺れる。
◇座席
2階バルコニ-右RBブロック6列目、会員S席。
音量が大きめで木管楽器がはっきり聴こえる。
残響音は美しい。
◇観客
現代曲が多く入りはいつもより少なく7割から8割。
少数だが歓声を上げる現代曲ファンがいた。




