2024年6月25日午後7時 サントリーホール
ヤニック・ネゼ=セガン指揮/METオ-ケストラ公演 2024 第1夜
曲目
前半
ワ-グナ-作曲:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
ドビュッシ- :歌劇「ペレアスとメリザンド」組曲
後半
バルト-ク :歌劇「青ひげ公の城」演奏会形式 Ms:エリ-ナ・ガランチャ、 バスバリトン:クリチャン・ヴァン・ホーン
現在英国ロイヤル・オペラと日程がかち合い1階後方と2階左右は空席がある。
英国ロイヤル・オペラより管弦楽はMETオケの方が上、全体的に各奏者上手いが金管セクションは水準が高い。
昨日の東京フィルは聴き慣れするとそれなりに聴けるがMETオケを聴くとかなり演奏能力に差を感じる。
ワ-グナ-作曲:歌劇「さまよえるオランダ人」序曲
出だしのホルン、トロンボ-ンは迫力満点、トランペットがさらに厚みのある強力な音でのしかかってくる。
第1ヴァイオリンのアンサンブルも揃っていてヴィオラ、チェロ、コントラバスも音が大きい。
弦楽器セクションの響きは厚みがあり重厚だが響きは明るい。
セガンの指揮は2017年までMET首席指揮者だったファビオ・ルイ-ジとよく似てキビキビしたリズム感。
木管楽器ソロの聴かせどころは一段とテンポを落としメリハリを付け聴かせ上手。
ドビュッシ-:歌劇「ペレアスとメリザンド」組曲(ラインスドルフ編)
2023年10月に指揮者ノットが編曲した東響の演奏はモヤが立ち込めたような響きで旋律がはっきりせず響きも色彩感はフランス音楽らしさがなかった。
METのオケはフランス風の色彩感がある響きに肉薄。曲想は一貫して平坦でメリハリはつかないがドビュッシ-の世界に入り込んだ演奏。METのオケは世界どこの作曲家でも対応できる能力を披露し見せつけたかのよう。
このオケは金管奏者は目立つが木管奏者も上手い。首席クラリネット奏者の聴かせる演奏と首席ファゴット奏者の楽器の音色も素晴らしい。パリ管には及ばないがかなり実力は接近している。
バルト-ク:歌劇「青ひげ公の城」演奏会形式Ms:エリ-ナ・ガランチャ、 バスバリトン:クリチャン・ヴァン・ホーン
エリ-ナ・ガランチャはラトビア出身47歳でMET以外でも今シ-ズンはバイロイト音楽祭、ミラノ・スカラ座に出演。
メゾ・ソプラノとしては一流といってよい活躍。青ひげ公の妻役ユディットは声を強めることもなく安定した歌唱。
27日の演奏があるので声をセーブしているのかもしれない。
フルオ-ケストラで大きな音で伴奏されても声はオケに埋もれることはなかった。メゾ・ソプラノとしては声量があり声質も良く重宝されそうな歌手にみえた。
バスバリトン:クリチャン・ヴァン・ホーン ニュ-ヨ-ク出身、2013年METデビュ-。
長身で声量が大きくエリ-ナ・ガランチャより存在感のある青ひげ公役だった。歌手になって初めはニコライ・ギャウロフの録音を聴いたそうだ。その後サミュエル・レイミーやチェーザレ・シエピも研究対象にしたようだ。
クリチャン・ヴァン・ホーンの目指す名歌手の領域はもうすぐ近づいたように感じた歌唱力だった。
セガン指揮/METの伴奏は各奏者の音感がよく日本のオケよりきれいにハモるし不協和音は不協和音らしく刺激的な響きを出していた。リズム感が良いので聴いていて非常に気持ちが良い。
「青ひげ公の城」最大の聴かせどころは金管合奏のfff、海外のオケの中でも水準が高く聴いて忘れられない金管セクションの響きだった。
弱点をあえて探すとすると第1ヴァイオリンは例えば欧州のコンセルトヘボウ菅より響きの質と豊かさは劣る。
オケの響きが明るすぎ暗い曲想の「青ひげ公の城」では悲劇性が薄れた。
座席は2階RB9列前半のA席。歌があるので舞台横ではなく歌手より右前の位置で聴いた。
音がfffで強いと金管楽器の高音の残響音が分離せず混濁気味になった。
観客は8割前後。
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