2024年6月22日午後2時  神奈川県民ホール 横浜市

英国ロイヤル・オペラ 「リゴレット」 初日

ヴェルディ作曲「リゴレット」全3幕 1851年 ヴェネチア フェニ-チェ座初演 

 

主な登場人物

リゴレット:エティエンヌ・デュピュイ   1979年カナダ生まれ

 

マントヴァ公爵:ハヴィエル・カマレナ 1976年メキシコ生まれ


 

ジルダ:ネイディーン・シエラ  1988年USA生まれ

 

指揮:アントニオ・パッパーノ  1959年イギリス生まれ,USAへ13歳の時移住

ロイヤルオペラ合唱団

 

ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

 

女性を次々に誘惑するモ-ツァルトの貴族ドン・ジョバンニの悪役と「リゴレット」のマントヴァ公爵は同じ役どころ。

モ-ツァルトの「ドン・ジョバンニ」は悪役が死ぬ喜劇だが「リゴレット」は善人が死ぬ悲劇。原作はヴィクトル・ユゴ-の戯曲「王はお愉しみ」

 

オペラ演奏の出来栄えは第1幕は様子見で歌手は無理して大きな声は出さず試運転。

リゴレットに呪いをかけるモンテロ-ネ伯爵役のエリック・グリ-ンだけ声がハスキ-で調子が悪そうだった。

・『慕わしき御名』Caro nome、ジルダのアリア

ネイディーン・シエラ の歌唱は難しい高音を上手く歌っていた。

 

第2幕と第3幕は休憩なし。

第2幕からオケも歌手も音量を大きくし始める。

リゴレット役エティエンヌ・デュピュイ『悪魔め、鬼め』はレオ・ヌッチのような毒気が足りない。

第3幕はオケも歌手も全力に近い演奏となり歌手よりオケが雄弁となり音量が大きくなる。

マントヴァ公爵の『女心の歌 La donna è mobile』ハヴィエル・カマレナの歌はカリスマ性と美声の魅力には欠けるが歌唱は声に艶と輝きがあり文句のないでき。

 

最後にリゴレット役エティエンヌ・デュピュイが瀕死のジルダ役ネイディーン・シエラ との演技と歌唱が聴衆の同情を誘い涙、リゴレットの激白で終焉。

 

2015年の「ドン・ジョバンニ」公演より歌手のレベルは上がってオケは響きが豊かになったように感じた。

 

・リゴレット役エティエンヌ・デュピュイ  は全体の歌手を仕切る程のカリスマ性と個性に欠けるものの歌唱の出来は良かった。

・マントヴァ公爵役のハヴィエル・カマレナの歌唱も安定した出来ばえで声質は悪くはないが女性を誘惑するための美声の魅力は少し不足に感じた。

・良かったのはジルダ役のネイディーン・シエラ でコロラトゥ-ラの歌唱をこなし声質が可憐で美しく歌唱も安定感があった。

・30名ほどの男声だけのロイヤルオペラ合唱団は男だけの集団で迫力があった。

・指揮者のパッパーノ がオペラ全体をコントロ-ルし ドラマの展開に沿ってヴェルディに相応しい音楽をつくっていた。

・ロイヤル・オペラハウス管弦楽団のヴァイオリンセクションはN響の方が豊かな響きに感じるが木管の表現力は高く、金管と打楽器は迫力があり落ち着いたブリティッシュサウンド。

2023/5新国立歌劇場公演より満足度はかなり上回りチケット代の差はやむを得ない。

 

リゴレットが上演終了後アントニオ・パッパーノのアフタ-ト-クがあるとアナウンスされ会場の客の3~4割位残る。

・パッパーノは2021年のコロナ禍後迄、29年間「リゴレット」を指揮していなかったとのこと。

・今回の公演は最初にプッチ-ニの華やかなオペラ「トゥ-ランドット」を決めヴェルディの心理描写が特徴の「リゴレット」を次に選曲したと説明。

・「リゴレット」は原作はヴィクトル・ユゴ-だがヴェルディはシェイクスピアのような心理描写のイメ-ジを持っていたと思うと語る。

・「リゴレット」の第1幕のリゴレットと娘ジルダの二重唱、第3幕の4重唱と最後のリゴレットと死にゆく娘ジルダの二重唱の父と娘ジルダの所が聴き所との説明。

・第2幕と第3幕幕間はロンドンの観客はオシャベリをしているが今回日本の観客は声を出さず集中力があると褒めていた。

・神奈川県民ホールはあたたかい音で良いと褒めていた。

 

座席は3階9列56番、3階の前方から9列目の右、同じような場所ではNHKホールよりは音が大きく聴こえる。

神奈川県民ホール座席数は2433席、NHKホール座席数は3601席。

 

観客数は3階しかわからないが価格の高い席は5割から6割、安い席は8割くらいの入り。座席数が多いので入りが悪いとはいえない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指揮 

 

スパラフチ-レ: