2024年6月13日 イザベル・ファウスト 

J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン  ・ソナタ&パルティータ 全曲演奏会 第2夜 

横浜市 青葉台 フィリア・ホ-ル

 

 

 

音楽の父バッハ巡礼、有名なシャコンヌの曲が演奏される第2夜の演奏会を聴く。

 

1. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006

1.Preludio 2.Loure 3.Gavotte en Rondeau 4.Menuet  I-II  5.Bourrée  6. Gigue

明るい華やかな前奏曲で始まる。

ジーグはスロ-で優雅なバロックダンス風のメロディ-。

ガヴォットとロンドのメロディ-は有名。

メヌエットは重音奏法で2弦を同時に弾くので難しいがバッハにしてはチャ-ミングなメロディ-。

ブーレは同じメロディ-がエコ-のように繰り返される。

 

全体的にバッハの男性的な重い雰囲気ではなく軽快で明るい曲。

バロックダンスの優雅な雰囲気の曲もあり聴きやすい。

 

初めはイザベル・ファウストのヴァイオリンが響かず音量が小さく感じた。

低い弦の豊かな響きより最高音の弦のE線の金属的な明るい音が目立つ。

弦をこする雑音はイザベル・ファウストの奏法では殆ど聴こえない。

 

2. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003

1.Grave 2.Fuga 3.Andante 4.Allegro

グラーヴェは重音を交え遅いテンポで深刻な曲想、バッハの受難曲のよう。

バッハが得意としたフ-ガ、イザベル・ファウストの演奏はまるでモダンジャズの即興演奏のように聴こえてくる。

アンダンテは沈み込んだメランコリックな感情を秘めている。

アレグロはテンポが速く陽気な雰囲気になる。

このソナタはバッハの喜怒哀楽の曲想がはっきりした曲。

イザベル・ファウストのヴァイオリンの演奏は重々しい演奏ではなく現代に通じる即興性や女性の気配りの細やかな演奏。

 

2曲目からはイザベル・ファウストのヴァイオリンは響きはじめ金属的な高音は少し弱くなっている。

 

3. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004

 1.Allemanda  2.Corrente 3.Sarabanda 4.Giga 5.Ciaccona 

アルマンドは2拍子のダンス音楽、テンポが遅く優雅な雰囲気。

クーラントは3拍子のテンポが速い調子のよい舞曲。

サラバンドは3拍子で再びテンポが遅く荘重になる。

ジ-グは再びテンポが速くなり重苦しい雰囲気を一掃する。

ここまでは控えめなメロディ-。

 

シャコンヌ開始早々『トッカ-タとフーガ ニ短調』のパイプオルガンに匹敵する心に残るメロディ-が出現。

 

シャコンヌの起源は1598年スペイン人に記載されたペル-のギタ-伴奏の舞曲。

その後、スペインからイタリアへそしてフランスとドイツへ伝播。

シャコンヌは本来荘重ではなくスペインでは歌を伴う快活な舞曲。

イザベル・ファウストの程々重さが伴った流麗な演奏が相応しいようだ。

 

イザベル・ファウストの楽器は最後は豊かな響きになる。

高音のE弦の金属的な音は少なくなりとても聴きやすい響きに変化。

曲のラスト近くでパワ-全開の熱演、演奏後イザベル・ファウストは1分以上静止。

静止を解くとどっと観客は拍手喝采。

 

イザベル・ファウストで印象的なのは身体を上下左右小さく揺らして演奏、まるでメロディ-と共に踊るかのよう。

即興演奏を楽しむ聴き方と演奏者に合わせてダンスのリズムにのるような聴き方をするとバッハの曲は快適だ。

バッハは教会、貴族、器楽の名演奏家の依頼に応じ名曲がつくれコ-ヒ-カンタ-タのような世俗的な名曲もつくれる。

 

YouTubeより実際の演奏会のヴァイオリンの方が音は美しい

 

Bach: Partita no. 2 for violin solo. Isabelle Faust (youtube.com)

 

バロックのピリオド演奏についてイザベル・ファウストは

ビブラ-トは軽くかけるかノンビブラ-ト。曲の終わりはノンビブラ-トが多い。

弓の持つ手の位置や持ち方はピリオド演奏と現代演奏の中間で折衷的。

弓の扱い方は弓の毛を強く弦に押し当てないので弦をこするときの雑音は少ない。

腕が疲れてくると雑音が出てウィ-ンフィルのコンサ-トマスタ-のライナ-・ホーネックと似ている。

手首の使い方はピリオド奏法に近いが長時間演奏すると腕が疲れそうだ。

 

座席は1階10列中央付近、演奏者とは適度な距離でヴァイオリンの弦をこする音は目立たたない。ホールの天井は座席数500席の小ホールとしては高く圧迫感が少ない。

残響音は美しく、残響時間は適度。

浜離宮朝日ホールの方が更に残響音の響きは密度があり美しく、内装の雰囲気は高級感がある。

 

チケットは完売。中高年男性が多いがヴァイオリン持参の若い女性を見かける。

 

曲目

J,S.バッハ
1. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006

2. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003
3. 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004

途中休憩なし

アンコ-ル

・N.マッテイス Sr:ヴァイオリンのためのエア集より 

プレリュード、パッサッジョ・ロット - アンダメント・ヴェローチェ