2024年6月3日午後7時 武蔵野市民文化会館 小ホール
エリック・ル- ピアノ・リサイタル
曲目
前半
● G.ヘンデル :組曲第5番HMV430 クラヴサン曲集第1集より
● F.シュ-ベルト:4つの即興曲 D899 Op.90
後半
F.ショパン:舟歌 Op.60
F.ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 Op.58
アンコ-ル
●J.S.バッハ 「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV 992からアリオ-ソ
●ショパン:前奏曲から「雨だれ」
6月1日のショパン:ピアノ協奏曲 第2番のオーソドックスな解釈と東響との端正で素直な演奏は好感が持てた。
● G.ヘンデル :組曲第5番HMV430 クラヴサン曲集第1集より
無難な出来ばえ。
● F.シュ-ベルト:4つの即興曲 D899 Op.90
エリック・ル-の演奏はF.シュ-ベルトの悲しみ、憧れ、暗い情熱、やるせなさなど情感たっぷり歌われる。
シュ-ベルト30歳の作品でエリック・ル-は今年27歳、同年代しか表現できない多感な青年の情感があった。
ピアノのタッチは明瞭でとても美しい。
Eric Lu - Schubert 4 Impromptus, Op. 90, D. 899 (youtube.com)
●F.ショパン:舟歌 Op.60
●F.ショパン:ピアノ・ソナタ第3番 Op.58
2015年ショパン国際ピアノコンクールに17歳で4位の実績からしてショパンの音楽の美感は充分発揮されていた。
テンポが遅めで曲の構成が普通のテンポで弾く演奏よりよくわかる。
遅いテンポから生み出されるメロディ-の美感からは今まで気がつかなかった新たな美が発見できた。
アンコ-ル
●J.S.バッハ 「最愛の兄の旅立ちに寄せて」BWV 992からアリオ-ソ
バッハとしては堅苦しくないメロディ-の美しい曲。
感情移入が少なくオーソドックスな演奏。
●ショパン:前奏曲から「雨だれ」
6/1のサントリ-ホールより小さいので弱い音がニュアンス豊富に聴こえた。
初めと中間の激しい風雨、最後の曲想はより鮮明に理解できた。
曲の最後のショパンの安堵の感覚が良くわかる。
エリック・ル-のショパン:ピアノ協奏曲 第2番はオーソドックスだったがリサイタルの演奏は好き嫌いが分かれそうだ。
リサイタルの演奏は耽美的で感情移入が強く次第にリタルダンド気味になり度々繰り返され音楽の流れが停滞。
じれて次第に聴き疲れが出はじめる。
しばらく我慢するとシュ-ベルトやショパンのメロディ-の美しさがより強く感じられ、感情の機微もよくわかるようになった。
技術的には1曲に1回くらいミスタッチはあったがffの音は力強く響きは濁らない。
ppの音は卓上ピアノのようなスケ-ルが小さい音ではない。
スタインウエイの美しい響きを味わえた。
座席は7列目の右側。舞台上の天井が高いためか響きに窮屈な感じはしない。
舞台周囲は木製の壁材に囲まれているため響きは美しい。
残響量は適度で残響時間はやや短め。
ホ-ル収容人数は429名だがほぼ満席。中高年の男女の観客が多い。