昨年の2023年11月18日14時 東京芸術劇場 池袋

東京芸術劇場マエストロシリ-ズ

”井上道義によるマ-ラ-「復活」偉大なる魂

井上道義指揮 読響 マ-ラ-交響曲第2番「復活」

の感想は

 

券はほぼ完売。

2024年末で引退宣言の井上道義氏のコンサ-ト、得意曲目のショスタ-コ-ヴィッチとマーラ-の演奏が多くなった。

6月に結石で演奏をキャンセルしたが76歳の割に若々しい。

マ-ラ-「復活」では定評の阿波踊りやヨサコイを連想する手先で"踊る指揮"を見せた。

前振りがないのでオケは急な手先の振りには反応はできない。

今年3月の大野和士指揮都響のような徹頭徹尾緊張感に溢れた劇的な「復活」ではなく舞踊的なノリの軽やかでしなやかな音楽で他の日本人指揮者のノリとは一線を画していた。

聴いているとリラックスして愉しめる井上道義氏ならではの演奏だった。

井上道義氏のボクシングみたいに過激なパンチのような腕の振りには読響は大人の対応でパンチをかわし何事もないように演奏。

淡々と音楽は進み最後のクライマックスではここぞとばかりに読響は井上道義氏の指揮を盛り立てて大きな美しい響きで感動的に演奏を終えた。

 

 

今回のショスタコNo.10 は前振りのない急な振りはわずかしかなかった。

右手の振りは小さくかつ正確に拍を刻んでいて左手の曲想や強弱のコントロ-ルも大げさではなく適確。

第2楽章や第4楽章の激しいスピ-ドのパートでもボクシングのパンチが出ない。

これまで意味不明な指揮部分でも読響、N響が意を汲んで名演奏していたのとは違う。

 

リラックスした演奏ではなく傑作ショスタコNo.10の曲想を真に迫り正確にオケをコントロ-ルした井上道義氏指揮の名演だった。曲中に指揮とオケのずれのような間延びはなくなりピッタリ指揮とオケの演奏は同期していた。

 

演奏の最後に半回転して客席に向いたひょうきんなポーズでショスタコNo.10を終えたが今後どのようになるのだろうか?