2024年5月16日午後2時 ジョン・健・ヌッツォ リサイタル2024 ~美しい5月には~ みなとみらい小ホール
歌 ジョン・健・ヌッツォ
ピアノ 岡原 慎也
曲目
前半
・シュ-マン 「詩人の恋」全曲
後半
・シュ-マン 「子供の情景」全曲 ピアノ ソロ
・シュ-ベルト「美しき水車小屋の娘」 第5曲、第6曲、第11曲
・シュ-ベルト「ます」
・シュ-ベルト「野バラ」
・シュ-ベルト「わが想い」
・レハ-ル「君こそわが心のすべて」
アンコ-ル
レハール:ヴォルガの歌
ジーツィンスキー:ウィーン、わが夢の街
・シュ-マン 「詩人の恋」全曲
第1曲「素晴らしく美しい5月に」難しい音から始まり音程が微妙にずれてピッタリ決まらない。
第6曲「ライン、聖なる流れに」の力強い歌唱で少し持ち直す。
途中も音程が不安定であまり声の調子があがらない。
しかし最後の第16曲「昔の、いまわしい歌を」を力強い声で締めた。
・シュ-ベルト「美しき水車小屋の娘」
物語るような歌にはドイツ語のニュアンスが出てこず聴き映えがしない。
・シュ-ベルト「ます」
・シュ-ベルト「野バラ」
・シュ-ベルト「わが想い」
語る要素が減って名曲のメロディ-に合わせて歌うのでジョン・健・ヌッツォの美声は聴き映えがした。
声はフルパワ-近くまで音量を上げ始める。
・レハ-ル「君こそわが心のすべて」
全力に近いパワ-で声を出す。
シュ-マンやシュ-ベルトのドイツリ-トのように正しい発音のドイツ語で物語る要素がなく心地良いメロディ-にのせて歌うと本来の持ち味の美声の良さが出た。
今回の演奏ではロングト-ンで音程を一定に維持できない場面が多かったので改善を要する。
アンコ-ル
レハール:ヴォルガの歌
ソフトな曲で喉を休める。
ジーツィンスキー:ウィーン、わが夢の街
この演奏会の最大の聴かせどころ。
曲の最後に張り上げた高い声の迫力は凄まじい。
演奏後女性が通路で鳥肌が立ったという話し声が聴こえた。
歌は結局1曲だけ完璧な出来だったらそれで満足できる。
5/12のドミンゴだって完璧だったのは1曲だけ。
コネサはドミンゴを上回った共演の1曲だけで存在感を示した。
今年70歳のピアノ岡原慎也の伴奏とシュ-マン「子供の情景」の曲想の理解力は抜群。
最近の有名海外コンク-ル上位の30歳前後のピアニストと比較しても曲の読みが深い。
伴奏では昨日のヒラリ-・ハ-ンの伴奏のアンドレアス・ヘフリガ-にピアノの技巧やタッチの明晰さでは及ばないが同じ位曲の読みが深い。曲の流れの変化に合わせて曲想を正確に当てはめていた。
40歳過ぎてから音楽の理解力が伸びてくるのは必ずしも神童と呼ばれたり有名コンク-ル1位の演奏家ではない。
ドイツを代表する名バリトンのヘルマン・プライの伴奏を1994年、ワーグナ-歌手で有名なテオ・アダムの伴奏を1995年に務めた実績は半端ではなかった。
ピアノはスタインウエイ。
座席は前から5列目中央付近、声は細かいニュアンスまで聴こえる。
ホ-ルの音は温かい残響音で美しい。大きな声の時でも響きが飽和することはなかった。
観客は8割前後、中高年の女性が多い。
前半の演奏中に高齢の女性の演奏中の謎のつぶやきと補聴器からと思われる音量が変動する発信音が気になった。