2024年5月15日19時 ヒラリ-・ハーン ブラ-ムス ヴァイオリンリサイタル 所沢ミュ-ズ アークホ-ル
曲目
ブラ-ムス ヴァイオリンソナタ 第1番、第2番、第3番
アンコ-ル
ウィリアム・グラント・スティル(1895-1978)作曲「マザ-&チャイルド」
ブラ-ムス F.A.Eソナタから第3楽章 スケルツォ
ヒラリ-・ハーンは1979年生まれ現在44歳、アメリカのボルティモア出身。
12歳でボルティモア交響楽団とサンサ-ンスのヴァイオリン協奏曲でデビュ-。
2000年に来日しベルリンフィルと共演、早熟の演奏家のキャリア。
前半
ブラ-ムス ヴァイオリンソナタ 第1番、第2番
ヒラリ-・ハーンは純真な女性の心持ちの演奏、自分の独自の世界観を表現。
ヒラリ-・ハーンはデュメイと比較しテンポが遅くすこし気だるい演奏に聴こえる。
男性ヴァイオリニストのデュメイとボ-イングのシャ-プさとパワ-の違いのようだ。
楽器は1864年または1865年のJ. B. ヴィヨーム、柔らかで優美な音。
弦を隣に移動して弾いた時の音色は滑らかにつながり、力を入れなくても楽々美音が出てくる。
最高音E線の弦のパートは金属音が弱く刺激的ではない。
こするときの雑音が少ないのはヒラリ-・ハーンの腕前だろう。
後半
第3番
昨年9月に同ホ-ルで聴いた諏訪内晶子の同曲の演奏に印象が似て平板な表現に聴こえた。
ブラ-ムスの悲嘆、諦観があまり感じられない。
ヒラリ-・ハーンは筋力が弱くメリハリがつかないことも原因のようだ。
ヒラリ-・ハーンの最大の美点は1音1音正確に美しい音で弾くこと。
これを実施できている演奏家は多くはない。
特筆に値するのはピアノのアンドレアス・ヘフリガ-(1962-)の演奏。
昭和の世代には良く知られた名テノ-ルの独リート歌手エルンスト・ヘフリガ-(1919-2007)の息子。
第3番のピアノ演奏はブラ-ムスらしい力強い響きで音楽の理解力が非常に深い。
スタインウエイのピアノのタッチは明晰で美しい響き。
ヒラリ-・ハーンの演奏に絶妙に合わせ曲想の付け方は第3番にマッチングしている。
今回のヒラリ-・ハーンの演奏で良かったのはアンコ-ルの
ウィリアム・グラント・スティル(1895-1978)作曲「マザ-&チャイルド」
アメリカの主要なオケを指揮、作曲したオペラが上演された最初のアフリカ系アメリカ人指揮者、作曲家。
ブラ-ムスの3曲とは違い、積極的に感情移入しヴァイオリンを表情豊かに演奏していた。
座席は2階R2列25番 、2階バルコニ-右。
ホールの響きは美しい、3階の天井が3m位上にあるので少し音がこもる。
観客は1階席8~9割、2階7割前後。舞台横と舞台後方、3階は無観客で実施。