2024年5月14日午後7時 サントリ-ホール
ドミンゴ・インドヤン指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ 辻井伸行
曲目
前半
・ルーセル:≪バッカスとアリアーヌ≫ 第2組曲
・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番[ピアノ:辻井伸行]
ピアノアンコ-ル
・ラフマニノフ:鐘
後半
・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
オケアンコ-ル
・プロコフィエフ 「シンデレラ」より「幸福への旅立ち」
・ルーセル:≪バッカスとアリアーヌ≫ 第2組曲 1931年作
ルーセル(1869-1937)はドビュッシ-亡き後ラヴェルとフランスの楽壇の中心人物。
バレエ音楽第2幕を管弦楽に作曲、ギリシア神話の世界を描いている。
色々な情景を描いていているがメリハリのある曲も混じり古典主義に戻り前衛的な音楽ではなく単調にならず聴きやすい。
・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番[ピアノ:辻井伸行]
辻井伸行は2013年7月にイギリス最大の音楽祭であるプロムスに出演しBBCフィルと共演。
7000人近い聴衆が大喝采の歴史的な成功といわれている。
Nobuyuki Tsujii - La Campanella - BBC Proms 2013 辻井伸行さん プロムス2013 アンコール (youtube.com)
今回のピアノ演奏は時々ピアノの音が抜けるがバックのオケの雰囲気のある伴奏に気分がのっていい演奏に聴こえた。
昨年のロイヤルフィルとのチャイコフスキ- ピアノ協奏曲第1番の豪快さを要求される曲より、更にロマンチックな美しいラフマニノフの曲にはまっていた。
オケの伴奏の音が弱い第2楽章はピアノの演奏が際立って美しく聴こえた。
いつ聴いても辻井伸行の純粋無垢な音楽は魅力的、感動的で天分を感じさせられる。
若者のはつらつとした元気の良い演奏から35歳の年齢相応の大人の落ち着いた演奏にシフトし始めているようだ。
ロイヤル・リヴァプール・フィルのヒュ-マンな温かい気持ちの伴奏は非常に素晴らしい。
ピアノアンコ-ル ラフマニノフ:鐘
独奏の曲はオケ伴奏がないのでピアノの音が埋もれず伸び伸び演奏していた。ラフマニノフの曲想を上手く捉えた好演。
・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
指揮者ドミンゴ・インドヤンはリズム感はシャ-プだが強引な指揮はせずオーソドックスな演奏解釈。聴いていて全く不満がない。打楽器、トランペット、トロンボ-ン、チュ-バを後壁ぎりぎりに配置し響きの厚みを確保していた。
木管と弦楽器の各パートがはっきり聴こえるのでショスタコーヴィチの作曲技法がよくわかった。
弦楽器群の響きはヴィオラ、チェロ、コントラバスがはっきり出て響きが柔らかく厚みがある。
首席ホルンは不安定な音を出さずトロンボ-ンとチュ-バは音の豊かさと迫力があった。
木管は首席クラリネットが上手い。
木管、金管、打楽器も日本のオケより厚みとリズム感がよく聴き映えする。
イギリスのリヴァプ-ルの地方オケだがロンドンにある有名オケと比較して遜色がない。
ノリの良いリズム感と紳士(淑女)的な大人の落ち着いた響きのブリティッシュサウンド。
昨年来日のバーミンガム市交響楽団はフレッシュなリズム感で美感をたたえたラフマニノフ交響曲第2番だったが今年は中高年の演奏者が多いロイヤル・リヴァプール・フィルは大人の魅力のしっとりした情感のラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番。
それとショスタ-コ-ヴィッチ交響曲第5番の演奏は非常に内容が濃い密度の高いアンサンブルの演奏会だった。
座席は2階RA1列11番A席、2階右バルコニ-最前列。
残響音は美しいが時々客席後方から遅延音が聴こえる。
辻井伸行共演の効果でチケットは完売、ほぼ満員。