2024年5月11日午後2時 東京交響楽団 川崎定期演奏会 第96回 ミュ-ザ川崎

・武満 徹 :鳥は星形の庭に降りる

・ベルク:演奏会用アリア「ぶどう酒」

 1.ぶどう酒の魂

 2.愛する者たちのぶどう酒

 3.孤独な男のぶどう酒

・マ-ラ-「大地の歌」

 

 

 

・武満 徹 :鳥は星形の庭に降りる

入口でもらった冊子の説明では

一群の白い鳥が一羽の黒鳥を中心に五角形の庭に降りる夢から着想され、鳥の主題がオーボエで弦楽が庭を表している。

演奏した音からオーボエが鳥で弦楽器が庭は想像しにくいがピアノの黒鍵の構成の5音音階で構成された日本的な雰囲気のする透明な管弦楽の響きは美しかった。

 

1977年サンフランシスコ交響楽団初演の評価では和声・管弦楽法でベルクに親近性があると指摘された。

ベルク:演奏会用アリア「ぶどう酒」を自宅でYou tubeから検索して聴くと確かに雰囲気は似ている。

 

・ベルク:演奏会用アリア「ぶどう酒」

ソプラノ 高橋絵理

高橋絵理の声量は小さいが日本人にしては甲高い声質ではなく美声。

シェ-ンベルクの曲のように難解で濃密なロマンを感じさせる曲。

 

・マ-ラ-「大地の歌」

メゾソプラノ ドロティア・ラング

テノ-ル   ベンヤミン・ブルンス

ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団

マ-ラ-は副題に交響曲を入れているがチラシやもらった冊子には「大地の歌」に交響曲がついていない。

冊子にはウェ-ベルンはベルク宛に「信じられないほど美しい。まるで人生の、いや生きてきた者の、死にゆく者の魂の軌跡を走馬灯のように過ぎ去っていくかのようだ」と記載。

 

メゾソプラノ ドロティア・ラングは最後の6曲目「別れ」の途中までは声が出にくく不調に近い。

最後のクラマックスで本調子になって「ewig...ewig...」の詞を聴くことができたので満足。

テノ-ルのベンヤミン・ブルンスの声量は大きくないが艶のある声質でこの曲に向いている。

翌日、同じ曲目の演奏がサントリ-ホ-ルであるので声の音量はセーブしたかもしれない。

 

オケの演奏は冒頭のホルンが破綻がなかったのが良い。

ピッコロ、フル-トが中国の詩にマッチした東洋的な音と首席オーボエ最上峰行氏の演奏がひときわ目立ち好演。

ノットのエレガントなテンポの揺らし方が名歌手の演奏のように絶妙だった。

それに応えて実際に音を出している東京交響楽団も名演。

 

座席は2階RB5列3番、A席。2階右だが指揮者に時々歌手がふさがれて声の高音が聴こえにくい。

ホ-ルの残響音は空間の拡がり感があり美しい。

 

3階センタ-ブロックに空席が多く観客は7割位。