2024年5月1日19時 SADAO WATANABE meets 新日本フィルハーモニ-交響楽団 すみだトリフォニーホール

第1部 渡辺貞夫カルテット+村田陽一

渡辺貞夫カルテット 渡辺貞夫(アルトサックス),小野塚晃(ピアノ),三嶋大輝(ベース),竹村一哲(ドラム)

村田陽一(トロンボ-ン)
第2部 渡辺貞夫 meets 新日本フィル

渡辺貞夫(アルトサックス),小野塚晃(ピアノ),竹村一哲(ドラム),養父貴(ギタ-),コモブチ キイチロウ(ベース)

村田陽一(指揮とトロンボ-ン)

 

 

渡辺貞夫1933年2月1日生まれ91歳。現役バリバリ今や人間国宝的存在。

前半

3月7日の鎌倉芸術館の演奏よりジャズっぽいグル-ブ感が強くなった。

鎌倉芸術館小ホールより会場が大きいのでベースの音が小さく他の楽器と音量バランスが悪い。

しかし主役の渡辺貞夫のサックスの音はしっかり舞台横のスピ-カ-から大きく聴こえるようになっていた。

 

後半は新日本フィルと演奏だが実際は渡辺貞夫の伴奏役。

伴奏がフルのオーケストラだと厚みが出て響きはゴージャスになりサックスの演奏はバンドの演奏より引き立つ。

渡辺貞夫の意図としては気持ち良く演奏するために多数の観客のもとで豪華な響きのフルの上手いオーケストラで演奏したかったのだろう。実際その欲求には応えられたようにみえる。

 

『カリフォルニア・シャワー』をYou tubeで聴いても基本的に渡辺貞夫の演奏スタイルは46年経過しても変わっていない。

メリハリは強く出来なくなってきているが間の取り方が上手くなって味のある演奏になっている。

今の方が若い時の演奏の照かりがなくなって渋くなり好感が持てる。

 

『カリフォルニア・シャワー』1978年3月録音

1jaktyo_0430_7 (youtube.com)

 

渡辺貞夫の演奏では第1部のフルパワ-で演奏した最後の曲が最も強く印象に残った。

 

ピアノの小野塚晃は演奏に味があって上手さを感じた。

ベースはホールが広すぎて音量が小さく評価はできないが運指のフォームはきれい。

ドラムスはリズム感は良いが間がなく少し単調だが技術的には上手い演奏者だと思う。

 

第2部で村田陽一がきっちり渡辺貞夫の演奏に合わせて新日本フィルを指揮していた。

新日本フィルの金管がしっかり伴奏を付けていた。

他の楽器のセクションも頑張っているように見えるがいつもより舞台の後方へ配置されたので弦や木管のメロディ-は時々しか聴こえない。

アンコ-ルのラストの曲は「漕げよ マイケル」のようだ、バンド全員が歌って踊ってまるでお祭り騒ぎだった。

「漕げよ マイケル」を調べると南北戦争中の元黒人奴隷の歌。

一見明るい曲だが過酷な苦難の中に一筋の光明を求める歌。

全米シングルチャ-ト ザ ハイウエイマンの演奏が1961年に1位。

The Highwaymen "Michael, Row The Boat Ashore" on The Ed Sullivan Show (youtube.com)

 

渡辺貞夫の悲惨な日本の戦時中に過ごした人生にも当てはまりそうだ。

渡辺貞夫の楽観的で明るい演奏は悲惨な体験を昇華して生きている幸福感から生まれたものだろう。

 

席は3階2列24番 A席。3階前から2列目の中央付近。

残響音は多めだがサックスの音は厚みが出て好ましい。

バンドのピアノとドラムスは明瞭でリズムははっきり聴こえる。

 

席はほぼ満席でチケットは完売のようだ。観客は中高年が多いが女性客も3~4割位。

 

第1部 曲目

『PEACE』,『ワンフォ-ジョジョ』,『ジャスト・フレンズ』など

第2部 曲目

『TOKYO DATING』,『EARLY SPRING』,『I'M WITH YOU』,『BOA NOITE』,『SAMBA EM PRELUDIO』,『PAGLIACCI』,『WARM DAYS AHEAD』,『SUN DANCE』,『~TEMBA』,『MY DEAR LIFE』