2024年4月13日午後2時 東京文化会館 上野
東京春祭 合唱の芸術シリ-ズ vol.11
生誕200年に寄せて ブルックナー ミサ曲第3番
曲目
・ワーグナー:ジークフリート牧歌
・ブルックナー ミサ曲第3番 ヘ短調 WAB28
指揮 ローター・ケーニヒス
管弦楽 東京都交響楽団
ソプラノ: ハンナ=エリーザベト・ミュラー
メゾ・ソプラノ: オッカ・フォン・デア・ダメラウ
テノ-ル:ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー
バス : アイン・アンガー
合唱 :東京オペラシンガーズ
・ワーグナー:ジークフリート牧歌
1870年に、長男が生まれた喜びと妻コジマ・ワーグナーへの誕生日およびクリスマスの贈り物として準備された。
都響の演奏はチェロとコントラバスの音量は小さいが弦楽器全体の音はまとまっていて菅弦とも過不足はなく好演。
・ブルックナー ミサ曲第3番 ヘ短調 WAB28 1872年作
同曲を1962年に録音されたオイゲン・ヨッフム指揮バイエルン放送響・合唱団のCDを1980年代に購入。
この第3番のミサ曲のブルックナ-は実に雄弁で歌詞に的確にメロディ-をつけていた。
このミサ曲では交響曲のまとまりのなさはなく自信にあふれた側面を見せている。
第3曲のクレドはイエス・キリストの生誕の由来と復活し昇天迄リアルに情景を描写。
他の章では第1曲キリエの神秘感、第2曲のグロ-リアのブルックナ-特有の快活なメロディ-、第4曲サンクトゥスの意気軒昂な趣き、第5曲ベネディクトスはロマン派らしい美しさ、終曲のアニュスデイは荘厳に静かに曲を終える。
子供時代アーヘンの聖歌隊でブルックナ-を歌ったローター・ケーニヒスの指揮は旋律に情感を込め、金管と打楽器の表面的効果をねらわず超越的なブルックナ-の曲へ深い表現をしていた。
東京都交響楽団の演奏は4月3日の大野和士の劇的なブルックナ-第3番の演奏とは異なる。
金管楽器と打楽器の演奏に劇的な激しさはなくケーニヒスの意図をくんだブルックナ-の宗教曲は崇高で壮大な演奏。
独唱の歌手の中ではソプラノのハンナ=エリーザベト・ミュラーの堅固な声質と歌唱力が特に印象に残った。
メゾ・ソプラノ: オッカ・フォン・デア・ダメラウの声ははっきり聴こえず少し歌いにくそうな表情に見えた。
東京オペラシンガーズは長いラテン語のグロ-リアとクレドの章の歌唱を覚えるのは大変だったと思われ、演奏に拍手。
座席は5階1列11番C席、5階センタ-最前列。
明瞭度は高いが残響は少ない。
観客の入りは5から6割位。