2024年4月11日午後6時30分 東京文化会館 上野

東京春祭プッチーニ・シリーズ vol.5

《ラ・ボエーム》全4幕(演奏会形式/字幕付)

 

お針子 ミミ役セレーネ・ザネッティは第3幕から本調子。

容姿は大柄で可憐さはなくパワ-感のある歌声で結核で瀕死の役には当てはまらないが歌唱力はある。

詩人ロドルフォ役ステファン・ポップは第2幕までは輝きのある声が出なかったが、第3幕の終わりになるに従って高い声に艶と輝きがついて熱唱。

昨年のパレルモ・マッシモ劇場のミミ:アンジェラ・ゲオルギューとロドルフォ:ヴィットリオ・グリゴーロには及ばない。

チケット代が違うのでいたしかたないだろう。

 

脇役は主役にヒケを取らない声量、声質、技量。

特にエチオピア生まれイタリア育ちのムゼッタ役マリアム・バッティステッリの声は歌手の中では一番良く声がとおる。声質は美麗で聴き映えがした。

 

全部の外国人歌手の声は東京交響楽団に埋もれずはっきり聴こえた。

 

合唱:東京オペラシンガーズは熱演、声の豊かさは新国立劇場合唱団の方が上回る。

東京少年少女合唱隊は水準が高い出来栄え、舞台の演技力も大人顔負け。

東京交響楽団の弦楽器の響きは少し硬いがアンサンブルは上手い。

コンサ-トマスタ-のグレブ・ニキティンは華麗なヴァイオリンのソロで魅了。

グレブ・ニキティンはモスクワ生まれ、ボリショイ劇場管弦楽団のアソシエイト・コンサートマスターの経歴を持つ。

指揮:ピエール・ジョルジョ・モランディはミラノスカラ座の首席オーボエ奏者の経歴。

《ラ・ボエーム》の聴かせどころを熟知して、メリハリをしっかりつけて特にラストの終わり方は感動的。

 

座席は5階1列10番C席、5階センタ-最前列。歌手の声量は良くわかり歌手の声の状態も良くわかる。

ホールの残響音は少ない。

 

6割前後の入り。観客は2、3階のL,Rは空席が多い。

舞台から近い1階中央、価格の安い5階は空席が少ない2極化の現象。

 

主役

詩人 ロドルフォ (テノ-ル):ステファン・ポップ

お針子 ミミ(ソプラノ) :セレーネ・ザネッティ

脇役

画家 マルチェッロ(バリトン):マルコ・カリア

歌手 ムゼッタ(ソプラノ):マリアム・バッティステッリ

音楽家 ショナール(バリトン):リヴュー・ホレンダー

哲学者 コッリーネ(バス): ボグダン・タロシュ

合唱:東京オペラシンガーズ/児童合唱:東京少年少女合唱隊

指揮:ピエール・ジョルジョ・モランディ/管弦楽:東京交響楽団

コンサ-トマスタ- グレブ・ニキティン