2024年4月8日 東京文化会館小ホール 上野

東京・春・音楽祭2024 アンサンブル・アンテルコンタンポラン Ⅰ

Classics of the 20th Century

曲目

クセナキス :ルボン 打楽器ソロのための

ウェーベルン:9つの楽器のための協奏曲 op.24

リゲティ  :無伴奏ヴィオラ・ソナタ(抜粋)

ヴァレーズ :オクタンドル 8つの楽器のための

ドナトーニ :マルシェ ハープのための2つの小品

カーター  :ダブル・トリオ

ホリガー  :Klaus-Ur ファゴット・ソロのための

ブーレーズ :デリーヴ I

 

 

1976年にピエール・ブーレーズにより創設されパリに本拠を置く室内オーケストラで現代音楽に特化している。

今夜の演奏会は2回あるアンサンブル・アンテルコンタンポランの演奏会では20世紀現代音楽の有名な作曲家達の特集。

1.クセナキス(1921-2001):ルボン 打楽器のための

Ⅰ. Rebound A

Rebound Aは50年くらい前に古代ギリシャを舞台にした映画でバックミュ-ジックに使われたパーカッションの雰囲気に似ている。土着的なリズム感が特徴。

(69) Kai Strobel performing Rebonds A by Iannis Xenakis - YouTube

 

Ⅱ. Rebound B

Gyorgy Ligeti. Loop (youtube.com)

Rebound Bは時折林英哲の和太鼓の響きに似た音がして親近感があった。

いずれにしても現代音楽といわれる範疇では打楽器の演奏は音程の変化が少なくリズムを主体に聴くので共感しやすい。

 

 

2.ウェ-ベルン(1883-1945):9つの楽器のための協奏曲 1934年作

1935年バッハの「音楽の捧げもの」BWV1079から「6声のリチェルカーレ」(オーケストラ編曲)と似た響きで親近感がある作風。

音が短く切れる作風だが自分の脳内で断片的なメロディ-をつなげて聴くので音階が12音技法でリズムが不規則でも違和感がない。

ウェ-ベルンはシェ-ンベルクと並んで20世紀では独創性の強い秀れた作曲家に感じている。

https://www.youtube.com/watch?v=iYo-DY5KndA

 

3.リゲティ(1923-2006):無伴奏ヴィオラソナタ 抜粋 1991-4作曲

演奏者のヴィオラの音が茫洋とした響きではなく少しヴァイオリンに近いヴィオラにしては高めの音の響きで美しい。

リゲティはヴィオラの音の美感の表現が上手い。

 

Ⅰ.Hora Lungaは回顧的な曲想で前衛的なリゲティにしては意外。

Viola Sonata: I. Hora Lunga (youtube.com)

 

Ⅱ.Loop はリゲティらしい前衛的な雰囲気。

https://www.youtube.com/watch?v=cu9aRb-Qe2g

 

4.ヴァレ-ズ(1883-1965):オクタンドル 8人の奏者のための

Ⅰ. Assez Lent

Ⅱ.Tresr

Ⅲ.Grave -Anime et jubilatoire

ヴァレ-ズは20世紀の前衛作曲家に大きな影響を与えたといわれる。

ストラヴィンスキ-より先に一歩進んだモダンな作風。

もはやメロディ-に依存する情緒的な聴き方はできない。

https://www.youtube.com/watch?v=b01j71lm5Go

 

5.ドナト-ニ(1927-2000):マルシェ ハープのための

様々なハープの響きをもたらしている作品。

 

 

https://www.youtube.com/watch?v=I7RBAU_7E3g

 

6.カータ-(1908-2012):ダブルトリオ 6人の奏者のための

100歳を超えた長寿の作曲家。ヴァレ-ズの作風を更に進んだ現代音楽。

不快な歪んだ響きの音感がなく聴いていて抵抗が少ない。

しかし型にはまり過ぎ共感するほどではなかった。

 

 

7.ホリガ-(1934-):Klaus-Ur(抜粋)

2023年オ-ボエ奏者として来日、今回の作曲家の中では唯一存命。

ファゴットの様々な響きを生み出した現代的な作品。

聴いていて楽しい名人芸的な演奏に観客から今回の演奏された曲の中では最も大きな拍手と喝采を受けていた。

現代音楽としては観念性が少なく今風の新しいトレンドで受け入れやすい作品。

https://www.youtube.com/watch?v=KvAWsmpWm7A

 

8.ブーレ-ズ(1925-2016):デリ-ブ 1  6人の奏者のための

指揮者としても有名だった作曲家。フランスの現代作曲家の代表的な存在。

洗練され感覚的で色彩的な美しいこの曲はドビュッシ-、ラヴェルの印象派の作風を思い起こす。

https://www.youtube.com/watch?v=RZDKMVqkbpQ

 

座席はN列 23番、後方中央の最前列。楽器の音ははっきり聴こえる。

ある程度離れている方が現代音楽では曲を理解しやすいかもしれない。

 

観客は8から9割、女性が少ない。

座席数は649席だが現代曲の演奏会では観客が多いようだ。

 

指揮:ジョージ・ジャクソン

ヴィオラ:オディール・オーボワン

ファゴット:マルソー・ルフェーヴル

打楽器:オーレリアン・ジニュー

ハープ:ヴァレリア・カフェルニコフ