2024年3月18日午後7時 東京文化会館小ホール 上野

東京・春・音楽祭2024

ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)&菊池洋子(ピアノ)

【曲目】

①モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第34番 変ロ長調 K.378

②シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D574

③コルンゴルト:《から騒ぎ》op.11 より 4つの小品

④ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 op.108

ライナー・ホーネックは今月63歳となるオーストリア出身。

ウィ-ン・フィルのコンサ-トマスタ-、紀尾井ホール室内管弦楽団の名誉指揮者。

菊池洋子(ピアノ)は46歳。2002年日本人として初めて第8回モーツァルト国際コンクールで優勝。

ウィ-ン在住でウィ-ン国立音大で後進の指導をしている。

 

①モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ 第34番 変ロ長調 K.378

先日のウィ-ン交響楽団のような流麗でノリの軽いリズム感でウィ-ンの街の雰囲気のようにモーツァルトは優美な演奏。

 

②シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D574

50年以上前に親しんでいた曲だが生の演奏会では初めて。

シュ-ベルト特有の同じようなフレ-ズが何回も繰り返すが微妙に変化をつけて飽きさせない考え抜かれた演奏。

 

③コルンゴルト:《から騒ぎ》op.11 より 4つの小品

コルンゴルトは1932年ウィ-ンの新聞のアンケ-トで存命する作曲家ではシェ-ンベルクと共に最高の作曲家とされた。

ユダヤ系でアメリカに亡命し生活のため映画音楽に転じたため長くクラシック音楽の世界では忘れられた作曲家。

今回の曲はウィ-ンの古く良き時代を回顧するような名曲。

コルンゴルトの作曲した曲の演奏会にはまた聴いてみたいと思わせる良い曲だった。

ライナー・ホーネックはウィ-ン情緒たっぷりにヴァイオリンを歌わせる。

 

④ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 op.108

ffの演奏で強く弓を弦に当てないので弦をこする雑音が少ない、右ひじを軸にして肩と手首の動きが小さい独特の奏法。

ブラームスとしては重厚でなく軽快で流麗な演奏で情緒はあるが情緒過多にはならず知性がある。

フレ-ズの強弱の付け方は連続的に変化させ曲想の表情付けは実に細かい。

 

ヴァイオリンの演奏の特徴を最大限に生かしていた。

アンコ-ルはNHKBS「クラシック倶楽部」の放送を意識しているのかシュ-ベルトの曲の一部を再演。

7曲ほどのアンコ-ルで腕が疲れてきたのか弦のこするノイズが出てきて美音が薄れてしまったのは残念。

 

菊池洋子は明るく美しいピアノの音でライナー・ホーネックに寄り添った上手い演奏。

きっちりしたウィ-ン風の様式感より通常の日本人のメロディ重視の演奏スタイルに感じた。

 

座席はH列 30番全席指定、前から8番目の右寄り。

ヴァイオリンの細かな音がよく聴こえ適度な厚みのある残響音だが残響時間は短め。

収容人数約650名の小ホールの前よりだと細部まで音が聴こえる。

ピアノの音は舞台上の天井が高いので開放的で天井の低いホールのこもった感じの音ではない。

側壁は塗装したコンク-トだが冷たい響きではない。

 

入りは6-7割位、左右と後方に空席が多い。