2024年2月1日午後7時 東京芸術劇場 池袋

芸劇リサイタル・シリーズ「VS」 Vol.8 

亀井聖矢×イム・ユンチャン

 

 

両者ともに2022年第16回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール出場。2009年は辻井伸行が1位となり話題になった、亀井聖矢はセミファイナル迄、イム・ユンチャンは本選出場し18歳で最年少優勝。

 

・ショパン/モーツァルト歌劇「ドン・ジョヴァンニ」のアリア

「お手をどうぞ」の主題による変奏曲 Op.2 [ソロ:亀井]

明るい音色で華麗な一面を持つ深刻な内面性を要求されないこの曲は亀井にはまって心地良かった。

 

・ショパン/エチュード・セレクション7曲[ソロ:ユンチャン]

内省的で少しこもった響きのピアノの音色で亀井とは正反対。

技巧の上手い下手より音楽性の違いが大きい。

 

・ラヴェル/ラ・ヴァルス (ピアノ2台)

管弦楽曲でも演奏されるこの曲だが目立って聴こえるのは1st亀井で、サポ-ト2ndがイム・ユンチャンで亀井の演奏の引き立て役。

 

後半

・ミヨー/スカラムーシュOp.165b (ピアノ2台)

旅好きだったミヨー(1892-1974)らしいブラジルの音楽の影響を受けた軽妙洒脱な曲でしゃれている。

選曲がとても良く亀井聖矢×イム・ユンチャンの対決より調和におもきがとれ楽しい。

 

・サン=サーンス/組曲『動物の謝肉祭』(2台ピアノ版)

ラフマニノフ/2台のピアノのための組曲第2番 Op.17から変更、『動物の謝肉祭』は子供でも楽しめる曲だがペットブームの現代を反映した選曲。

昨年12月フィルハーモニクス ウィーン=ベルリンでも楽しめたがピアノ2台でも面白い。

亀井聖矢の演奏は手首の位置が大きく上下して強弱の幅が大きく華麗な演奏で音は明るい。

イム・ユンチャンは手首の位置が大きく上下せず音がレガ-トでつながり亀井より強い音が出て技巧の上手さを感じた。

両者共まだ音楽の方向性は決まっていないように感じるが亀井聖矢はロマンチックで華麗な曲、イム・ユンチャンは作曲家の内面を追求する本格的な曲が向いているように感じた。

 

ピアノは2台ともスタインウエイ。

 

両側の席にはオペラグラスを持った中高年の女性。

演奏が終わると会場の8割以上の中高年の女性から盛大な拍手。

会場では韓国語も聴こえた。

 

座席は2階 N列 32番、2階中央の最後方付近。ピアノの音は小さく聴こえペダリングはわからないが亀井、イム・ユンチャンの音色の差や技巧はわかる。残響音は美しく残響は多くないので明瞭度は高い。

 

今回共演前の亀井聖矢(2001-)によるトークではイム・ユンチャン(2004-)の本選の上手な演奏ラフマニノフ協奏曲3番に惹かれコンクールのあとに共演をオファ-したらしい。

 

両者とも遠目には風貌は似て身体が少し大きいのが亀井だった。

亀井のトークでは二人はよく人違いで間違われ笑うのが亀井、笑わないのがユンチャンとのこと。

 

ショパン/エチュード・セレクション 7曲詳細 

・3つの新しいエチュード より 第1番 ヘ短調

12のエチュード Op.25 より 

・第1番 変イ長調「エオリアンハープ」

・第5番 ホ短調

・第6番 嬰ト短調

12のエチュード Op.10 より

・第10番 変イ長調

・第9番 ヘ短調

12のエチュード Op.25 より 

・第11番 イ短調「木枯らし