2024年1月24日午後6時30分 新国立劇場 初台

チャイコフスキー オペラ「エウゲニ・オネ-ギン」

10ほどあるチャイコフスキーのオペラで最も有名。プーシキンの小説が原作で抒情的なメロディ-の美しさはチャイコフスキーならでは。

第1幕はロシア民謡などロシア音楽が主で第2幕、第3幕はヴェルディのオテロやリゴレットなど悲劇のオペラの音楽の構成と似ていた。

今回の公演では国際的に活躍しているロシアとウクライナ出身の歌手たちが共演し水準が高かった。

主役の【オネーギン】ユーリ・ユルチュク(バリトン)はモ-ツァルトの「ドン・ジョバンニ」と同じく女性を誘惑する悪役だが長身でスマ-トな容貌は舞台映えし適役。

 

第1幕第2場の手紙の場のタチア-ナ役エカテリーナ・シウリーナ(ソプラノ)『私は死んでもいいの』は美声で片思いの可憐な乙女の歌唱で大喝采を受けた。

 

特に良かったのは【レンスキー】役のヴィクトル・アンティペンコ(テノール)は第2幕第2場の『わが青春の輝ける日々よ』は声量が大きく美声、歌唱力が素晴らしい。

 

【グレーミン公爵】アレクサンドル・ツィムバリュク(バス)は貴族役に相応しい風貌と気品があり重厚な低音の魅力のある歌唱。

【オリガ】アンナ・ゴリャチョーワ(メゾソプラノ)は少し暗い声質で目立たないが声量は充分。

 

脇役の日本人歌手と合唱団の声質と歌唱は悪くはないが声量はロシア・ウクライナのスラブの歌手から比較すると声量は少なく容姿も小柄で舞台映えが劣る。

 

第3幕舞踏会の開幕と閉幕で出演者が静止し時間が止まったような演出が印象的。

 

衣装は見栄えして安っぽくなく舞台美術は大道具のパーツを使いまわしで舞台転換の効率を良くしているようだ。

 

ヴァレンティン・ウリューピン指揮東京交響楽団は躍動感があり青春の恋愛をテーマにしたオペラに相応しい熱演。

 

東京交響楽団は東京フィルより弦楽器の音は硬質だがそれ以外は東京フィルと遜色がなく感じた。

 

座席は4階1列32番C席、最前列の中央。声楽とオケの両方共はっきり聴こえ明瞭度は高い。

東京文化会館より残響音は美しく演奏のクオリティを高くしている。

 

【タチヤーナ】エカテリーナ・シウリーナ

【オネーギン】ユーリ・ユルチュク

【レンスキー】ヴィクトル・アンティペンコ

【オリガ】アンナ・ゴリャチョーワ

【グレーミン公爵】アレクサンドル・ツィムバリュク

【ラーリナ】郷家暁子

【フィリッピエヴナ】橋爪ゆか

【ザレツキー】ヴィタリ・ユシュマノフ

【トリケ】升島唯博

【隊 長】成田眞

【合唱指揮】冨平恭平

【合 唱】新国立劇場合唱団

【指 揮】ヴァレンティン・ウリューピン

【管弦楽】東京交響楽団

【演 出】ドミトリー・ベルトマン

【美 術】イゴール・ネジニー

【衣 裳】タチアーナ・トゥルビエワ