ヴェネチア【高級酒商店マルヴァジーア】 | ヴェネチアから、イタリアの歴史、文化、食のトピックスを発信

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ヴェネチアの街中の『Malvasia 』とは?

 

今日、ヴェネチアの街中には「Malvasia」という名前が至る場所に残っています。これは、今まで語ってきたワインやブドウ品種のことではなく、ヴェネチア共和国時代に存在したマルヴァジーアワインを飲むことのできた高級ワイン店のことなのです。

 

13世紀から初めて東地中海地域発祥の『Malvasia』という名前のワインとして資料に引用され始めます。14世紀にはブドウ品種とブドウの木の名前としても引用されるようになりました。

 

『Malvasia』がワインとして引用される場合には「高貴な味わい、甘口、アルコール度が高いワイン、長期間の保存に適したワイン、東地中海起源のワイン」として表記されていました。

 

ヴェネチア中世の高級酒商店

『Malvasiaマルヴァジーア 』

今日もヴェネチアならではの中世の時代から存在する高級酒商店『Malvasiaにちなんだカッレ(calle 小道)やポンテ(ponte 橋)の名前が残っています。 中世に、ヴェネツィア共和国で「マルヴァジーアワイン」の交易を盛んに行なったため、ヴェネツィアの高級酒商店は『Malvasia』の名で知られていました。そして、当時のヴェネチアでは、この高級酒商店『Malvasia』があるカッレやポンテに『Malvasia 』の名前が使われていました。

 

『Malvasiaの橋』

 

高級酒商店『Malvasia』が人気を博すようになり、ヴェネチア共和国政府は、開店時間、同店舗間の距離、ワインの衛生管理、ワインの異物混入・調合規定で品質維持など、規則で厳しく取り締まっていました。

 

1514年頃、高級酒商店『Malvasia』の最大店数は20店舗に規定されましたが、その後1567年には28店舗になり、さらに56店舗まで増えました。

 

『マルヴァジーアの小道』

 

ヴェネチアでは、当時お酒を提供する酒商店のカテゴリーを呼び方で分けしてたそうです。

『Malvasia マルヴァジーア』高級酒商店

『Bastioni バストーニ』中級層むけ酒商店

『Magazini マガジー二』下級層むけ酒商店

 

これらのお店は、ワインを飲むだけでなく、おつまみや簡単な食事もできたそうです。今日ヴェネチアで地元っ子で集まる『Bacaro バ ーカロ』のような存在だったのでしょう。立ち飲みしながら、おつまみをつまんだり、食事をしたり、と。

 

 

また、これら以外にも、卸売りのワイン倉庫『タヴェルナ』、卸売りおよび小売りのワインと食品販売の『オステリア』または、『マガジン』と中世のヴェネツィアで使用されていたお店の呼び方だったようです。

ヴェネツィアの『オステリア』は何世紀にもわたって集いの中心であり、徒歩や船で移動するヴェネチア人たちににとって、各教区で許された唯一の社交の場で、出会いの場でもありました。

※教区:宗教組織が行政や布教活動などのために地域ごとに設定する単位。 カトリック教会では司教区、主教区と訳されることもあります。

 

 

1320年の資料では、リアルト橋の近くに、自治体所有の『オステリア、セリ・ステファノ・グラデニーゴ』があり、サン・セルヴォロとサン・ロレンツォの修道女が所有する『オステリア・オステリア・デッラ・ドンゼッラ』と『オステリア・デッラ・シンミア』があったことが記されています。

 


1415年の資料では、「リアルト橋近くの運河沿いのサン・シルヴェストロのガルゾーニ家は一軒家に『オステリア』を開くことが許されました」と記されています。

 

1572年には他のワイン商人と区別するために、『マルヴァジーア商人の同業組合』が設立されました。ヴェネチア共和国が滅びた1797年の少し前まで存在し、1765年に同業組合は解散し廃止されました。

 

 

海洋貿易で栄えた当時のヴェネチアの土地柄、多くの外国人の商人も商取引で滞在していましたから、地元のヴェネチア商人以外にも、こうした酒商店で、マルヴァジーアワインが大流行し、外国の商人たちによって、ギリシャからヴェネチア、ヴェネチアから、ヨーロッパ各国へと輸出され、マルヴァジーアワインだけでも商売繁盛して、当時のヴェネチアを思い浮かべるの容易いですね。

『Malvasiaの橋』

 

『マMalvasiaの小道』

 

『古いMalvasiaの小道』

 

『Malvasiaだった果物屋小道』

 

『古いMalvasiaポルティコ』

 

 

 

『Al Portego』

では、今日のヴェネチア地元っ子に人気のバーカロは、どのような雰囲気かと言うと・・・

このお店は、今日も地元っ子に人気の『Al Portego』で、このお店の前は「Calle Marvasia」。つまり、この店は昔は高級酒商店『Malvasia』だった訳ですね。

 

 

 

 

 

『Adriatico Mar』

 

 

 

 

何世紀も昔のヴェネチア人や外国の商人達が『Malvasia』で、グラスワインを片手におつまみをつまんだように、今日もヴェネチアではバーカロでワインを立ち飲みしながら、チケッティ(ヴェネチア風おつまみ)をつまむ習慣が残っています。今や、ヴェネチアならでのバーカロ巡りは大人気で、ヴェネチア地元っ子から観光客でバーカロは賑わっています。みなさんも、マルヴァジーアを片手に、チケッティ(ヴェネチア風おつまみ)をいかがですか?

 

 

 

 

 

 

 

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