『松本・・・』
ショーの2日目が終わって疲れはてているのに眠れずにbarで飲んでいると後ろから声を掛けられた
『佐藤さん....どうしたんですか?』
『昨日、いや今日か?
大変だったんだってな
まだいるかと思って楽屋に行ったら
アシスタントの大島くんから聞いたよ』
『あ~~はい、なかなかハードでした
疲れているはずなのになんだか眠れなくて・・・』
『そうか・・・
あ、それでな、楽屋に行ったらちょうど君に会いたい....と、訪ねて来た人と会ってお連れしたよ』
『え?僕に会いたい?』
『あ、あれ?....何処に行ったかなぁ?
ああ~~来た来た
やっぱりbarにいましたよ』
『あ、そうですか....すみません』
『松本くんこちらの人が君に会いたいって』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しょう......さん?』
『いやぁ~~久しぶり』
って1、2週間ぶり位に会った様に挨拶され
とまどう僕をよそに
『元気だったか?....潤?』
『え?え?....いや、元気だったか?って・・・
なんで?なんで翔さんがここにいるの?
ここパリだよ、フランスだよ?』
と、怒鳴る様に言う僕に頭を書きながら
『いや~~まぁ~~いろいろあってなぁ・・・』
ってその態度にまたまた火がつく僕は
『いろいろってなに?
だいだい、何?その態度!!』
と、言ったところで佐藤さんが落ち着いた声で
『松本?こちらはどういう知り合い?』
その声に我に返った僕は
『あ、ごめんなさい佐藤さん
この人は、僕の高校と大学の先輩で櫻井翔さんと
言う方です。』
『櫻井です。
ここまで連れて来て下さりありがとうございます』
『ああ~~いえいえ佐藤です』
『佐藤さんは、僕が尊敬する演出家さんなんだよ
佐藤さんの作る世界は、本当に凄いんだ』
『そうだったんですね
凄い演出家さんなんですね』
『いえいえ、松本は大袈裟なんですよ
お二人は久しぶりに会ったのですか?』
『あ、ええ~~まぁ~~』
『ええ~~まぁ~~じゃなくて
8年ぶりです。8年!!・・・』
『8年?8年ぶり?・・・・なの?』
『え、もうそんなになるか?』
『なるでしょう!翔さんがアメリカへ行ってからなんだからぁ~~』
『ハ、ハハ....そうかぁ~~8年かぁ~~』
『笑い事じゃないから
8年も音沙汰無くて、"いやぁ~~久しぶり"
ってなに?』
『音沙汰無し....って連絡してこなくなったのは
潤の方だろう』
『僕は翔さんがアメリカに行って忙しいのかと思って連絡しなかったんだよ』
『俺だって潤が新しい環境で大変なんだろうなぁ
~~と思って連絡しなかったんだ
ハハ、まぁ~~お互いにお互いの事を思って
って事だな』
『まったくもう~~ハハ、じゃないからぁ
でも、アメリカに行った翔さんがなぜフランスにいるの?』
と、ここまで申し訳ないことに佐藤さんの存在を完全にムシして僕と翔さんが言い合いをしていると
『8年ぶりならいろいろつもる話もあるでしょう
私は今日はこれで失礼します』
佐藤さんは僕たちに気を使ってくれた
そんな佐藤さんに翔さんが
『え、あ、お気を遣わせてしまいすみません』
『いえいえ、じゃあ....な、松本』
『すみません佐藤さん』
『明日は最終日だからな頑張れよ』
『はい、明日の打ち上げは来てくれますか?』
『ああ~~行かせて貰うよ』
『じゃあ、明日待ってます』
『ああ、・・・あ、櫻井さん
明日は松本にとって大切なラスト日なので
つもる話もあるでしょうが程々でお願いします』
と、言って佐藤さんは帰って行った
佐藤さんが出て行く姿を見送って
振り返ると
翔さんはカウンターの僕の隣の席に
しれ~~と座り
しれ~~とお酒を頼んでいた。
つづく