放課後約束の場所で待っていると
『お待たせぇ~~』
と、大きな声で手を振りながら近づいて来る
櫻井翔さん
その姿がまるで恋人同士の待ち合わせの様で
なんだか"恥ずかしい~~"と
顔を下げてしまった僕
そんな僕にはお構い無く下げた顔を覗き込みながら
『あれ?どうしたの?』
『いえ・・・なんでも無いです
行きましょう・・・』
『え?あ、・・・?うん・・・』
二人で並んで歩き出したが・・・・・
『どこへ行くんですか?』
『はぁ~~?なんだ!
松本くんが何処か行きたいところでも
有るのかと思ったよ』
『櫻井さんが誘ったんでしょう』
『だって"行きましょう"....って
サッサと歩き出したからぁ~~』
『そ、それは・・・そのぉ~・・・
と、とにかく
何処に行くんですか?』
『なに焦ってるんだよ?変な奴だなぁ~~』
その言葉に“貴方にだけは言われたくない”と
思ったが口には出さなかった
『俺の行きつけの店で良い?
奢るよ.....行こう』
『あ、はい』
へぇ~~すごいなぁ~~
大学生にもなったら
行きつけの店なんてあるんだぁ~~
『さぁ~~どうぞ
何でも好きなものを頼んで』
って・・・・ファミレスかよ・・・・
『うん?どうした?』
『あ、いえ・・・・』
『ほら、松本君何でも好きなものを頼んでよ
何にする?』
『う~ん?
櫻井さんは何にするんですか?』
『俺はいつもの
ハンバーグピラフ』
『いつもって
いつもここに来ているんですか?』
『そ、独り暮らしだし
料理出来ないからね....
ほぼ毎日....ハハ~~』
『ハハ....って笑い事ではないと思いますけど』
『松本君もハンバーグピラフ食べる?』
『いえ僕は帰って食事するので』
『そう、じゃあケーキにする?
ホットケーキは?
お!パンケーキもあるよ』
『フフ....じゃあ、パンケーキで』
『よし、飲み物は?』
『カフェラテで・・・』
『はいよ・・・
ハンバーグピラフとパンケーキと
カフェラテ2つ』
『櫻井さんも飲むんですか?』
『なんだよ飲んじゃいけないのか?
俺だってカフェラテ大好きなんだぁ~~』
『フフ....』
櫻井さんと話していると楽しかった
出会いは変な出会いだったが
僕はもう一度この人と話がしたい....って
思っていたのかもしれない
そう思えた。
つづく