前回の記事に引き続き、これからの働き方について思うことを書きたいと思います。
これから起きていく、またはすでに起きていてその勢いが増していくものとして、より安い労働力の資源が増えるというものがあります。
これはどういうことかというと、一つがロボット化。もう一つが外国人労働力の増加です。
つまり、今まで人が行っていたことがどんどん機械にとってかわられたり、日本人がやっていたことが外国人が安い賃金でやるようになるということ。
テクノロジーの進化はめざましく、現在進行形で進化し続けています。
また、発展途上国が豊かになり始め、高い教育を受けることができたり、より世界に飛び出せる人が増えています。
これによりできる労働の幅が広がってきており、世界規模で労働力の流動化が進んでいます。
そうなると、今まで日本人がやっていた同じ仕事をより低いコストで行うことができる機械や外国人労働者がどんどん奪っていくことになります。
この変化が進むと、いわゆるゼネラリストよりもスペシャリストが求められるようになります。
専門性のない、なんでも屋さんのような存在は価値が失われていきます。
逆に他の人や機械が簡単にマネできない専門性を持ったスペシャリストが活躍できる時代になります。
この点で考えると、栄養士はラッキーです。
なぜなら栄養や健康、美容といった専門分野を有した存在だからです。
大学で4年間(人によってはそれ以上)専門的にみっちり学んだことであったり、日々仕事をする中で現場で経験すること、学ぶことは簡単にはマネできない価値があります。
そのへんの健康オタクがちょっと勉強したからといって絶対に追いつけないカンというか、センスのようなものが身につくのです。
別に資格を持っているからエライとか、そういうことがいいたいのではありません。
要は「経験」の力です。資格を持っていなくても栄養士を凌駕する知識とスキルを持たれている方はたくさんいらっしゃいます。
逆にいうと、ただ栄養士をしていてもそのような専門的は身につかない、ということです。
私は栄養士の価値を決める価値は大きく分けて二つある、と考えています。
一つが知識力。
栄養士が持ちうる知識の幅はとても広いです。
栄養の知識、病気の知識、健康、美容、料理。
そのすべてを持つというよりかは、分野を決めてそこを突き詰め、その分野で活躍できる知識を徹底的に突き詰めるイメージです。
ちなみに、私は今女性の美容、健康といった分野にものすごく興味があるので、その分野の知識を学んだり、人から話を聞いたりして情報のストックを積み上げています。
そしてもう一つの力が伝える力。
いくら専門性の高い有用な知識を積み上げたとしても、それが自分の中の世界だけで完結していたら意味がありません。
それを何らかの手段を講じて人に伝えていく必要があります。
それはマンツーマンで指導することも含まれるでしょうし、対マスに向けて、講演を行ったり、文章で伝えてたりといった方法もあります。
この情報発信力こそ、これから活躍できる栄養士の条件であると考えます。
と同時にこの力が不足している栄養士が多いのではないか、という印象もあります。
ともすると栄養士は狭い世界で専門性を高めることに終始し、それを伝える力を磨くことを怠っている、もしくは意識していない人が多いのではないかという気がするのです。
その一つの表れが世の中の栄養士に対する認知度の低さです。
栄養士以外のお仕事をされている人に会った時に「栄養士をしています」というと、「へえ(?)」という具合にピンとこない人が多いのです。
まだまだ栄養士というと給食のおばちゃんのイメージを持たれているのが現状です。
もちろん給食のおばちゃんも立派な栄養士の価値ある仕事です。
しかし、それだけはない。
それだけではない価値が発揮できる仕事が栄養士だと考えています。
それなのに、そういった価値が認知されていないというのは栄養士の情報発信力の平均レベルが十分でないことの一つの表れだと思います。
そしてこの二つの力のうち、圧倒的に大事なのは二つ目の情報発信力だと思います。
この理由は二つで、一つは習得するのに時間がかかるということ。
知識は勉強すれば身につきますが、情報発信力は実際にやっていく中でしか高めることができない。
たとえば人前で話したりするのは場数が勝負なので、とにかくどんどん経験を積んでいくしかないです。
常に試行錯誤、トライ&エラーで試してみるしかない。
二つ目の理由がこの力を持っている人が少ないこと。
素晴らしい専門知識を持っている栄養士さんは多いですが、情報発信力を持った栄養士さんは数が少ないと思います。
数が少ないということはつまりブルーオーシャンだということなので、その力を持っていれば活躍できる可能性が高まります。
やっている人が少ないからこそ、取り組むことに意味があるのです。
このように、情報発信力は、①習得するのに時間がかかるということ、そして②身につけている人が少ないということ、この二つの理由から、活躍できる栄養士になるためにはキーだと思います。
これからの時代の移り変わりを知ると、栄養士であることはとても幸運なことです。
ただし、この栄養士というアドバンテージをどう活かすかはその人にかかっています。
世の中の栄養士の価値を高め、自分の理想とする栄養士を目指すため、ぜひ世の中の流れを捉えて、それに合わせて行動していってみてください。
そういう人が増えていけば、栄養士の世界がもっともっと盛り上がると思います。
(※文中では、あえて栄養士と管理栄養士を分けずに「栄養士」と表記しました)
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