スペインバスクからこんにちは!その21.開業準備編6 | 水谷孝のブログ「つれづれなるままに」

みなさんこんにちは!

 

ご機嫌いかがですか?

 

前回からの続きです、、、

 

屏風を買うか買わないかの議論は、妻は「どんな商売も、初日から軌道に乗る商売なんてないから、旦那が聞いたという直感の声は、直感の声でも何でもなく、ただの旦那の妄想だ。」と思い、僕は「直感が言うのだから、100%間違いない。」と思っていたのですから、議論は平行線のままでした。

 

妻が骨董美術に関心があることは知っていましたが、いつもしばらく眺めるだけで十分で、「どうしてもこれが欲しい!」と執着したことは1度もありませんでした。

 

そんな妻が、初めてその屏風を見た瞬間に、屏風の素晴らしさに釘付けになって、ため息をつきながら「こんな素晴らしい屏風は見たことがない!こんな素晴らしい屏風を、私たちのセンターに飾れたら、それだけでもう私たちのセンターは素晴らしくなるのに。本当に残念だけど、今は屏風より当面の生活の方が大事だから、諦めましょう。」と言ったのですから、僕は「もしこの屏風を、いま買わなくて、他の人に買われてしまって、そして直感が言う通り、僕たちのセンターが、初日から軌道に乗って、生活に困らなかったら、彼女はこの屏風を買わなかったことを、一生後悔することになる」と思ったので、強く買うことを勧めました。

 

最後は、僕が言った言葉が決め手になりました。

 

僕「君が僕の直感を信じていないことはよく分かってるけど、もし僕の直感が正しくて、初日から軌道に乗ったとして、その時にお金の心配がなくなったからって、都合よくこの屏風を買いたいと思っても、こんな素晴らしい屏風は、すぐに売れてしまうだろうから、その時はもう手遅れだと思うよ。そうしたら君は、この屏風を買わなかったことを、絶対に後悔するよ。安全を優先して、行動を起こさなければ、失敗はないかも知れないけど、奇跡も起こらない。君が言うように、どんな商売も軌道に乗るまで時間がかかる。初日から軌道に乗るなんてことは、奇跡かも知れないけど、勇気を出して直感を信じて行動を起こせば、奇跡は起こると思う。今は直感の奇跡を信じて、勇気を出してこの屏風を買う時だと思う。もしいま買わなかったら、間違いなく君は一生後悔する。僕が言いたいことはそれだけだよ。あとは君の判断に任せる。僕は買っても買わなくてもどっちでもいい。」

 

と妻に言いました。

 

僕の話しを聞いて、彼女はしばらく考えていました。

 

そして彼女は言いました。

 

妻「わかった。ちょっと恐いけど、今回はあなたの直感を信じて、この屏風を買っちゃいましょう!」

 

僕「よく決心したね!偉い!でも僕たちのセンターは、100%初日から軌道に乗るから安心しなよ。」

 

ということで、開業1週間前にあった、生活費のための貯金30万円のうち、25万円を使って、その屏風を買ったのです。

 

何と妻は、その屏風を僕の問診机(初診の患者さんの既往歴や、現在の症状を聞く時に使うデスク)の前に置いてくれたのです。

 

なので今日まで34年間の長きにわたって、屏風が欲しかった張本人の妻よりも、僕の方が屏風の素晴らしさの恩恵を受けてきました。(笑)

 

そしてもちろん患者さんたちの目も楽しませてくれています。

 

患者さんたちは、みんなその屏風を一目見て、異口同音に「これは素晴らしい屏風ですね!」と言います。

 

あらためて、「この屏風を飾ると飾らないとでは、センターがすごく違って見える、、、」と言った妻の美術品を見る目の確かさに感心させられました。

 

僕などは、「屏風なんてあってもなくても一緒」と思っていたのですから、恥ずかしくなりました。(笑)

 

そして屏風が届いた5日後の、1990年6月1日に、ついに待望の開業の日を迎えることができました。

 

と言いたいところなのですが、妻が宣伝チラシに「ついに日本から経験豊富な、偉大な鍼灸師がイルンにやって来ました。どこに行っても治らなかった人は、ぜひ来てください。」と、(嘘と言ってもいいくらいの)誇大宣伝をしてしまったせいで、僕の頭の中は「本当にどこに行っても治らなかった人ばかり来て、一人も治せなかったらどうしたらいいんだ、、、」という心配で一杯だったので、本心は「出来るならば、いつまでも開業しないで済めばいいなぁ」と思いました。(笑)

 

続きは次回のお楽しみに!

 

それではまた来週の金曜日にお会いしましょう!

 

みなさんお元気で!

 

スペインのイルンより心を込めて、、、

 

水谷孝