みなさんこんにちは!
ご機嫌いかがですか?
前回からの続きです、、、
翌日、妻は母親と妹と伯母さんと兄嫁を誘って、物件を見に行きました。
売り主の案内で、家の中に入った時、妻は2LDKのその家の古さと汚さに全く驚くことなく、すぐにその場で「こことここの壁を壊してヨガの部屋にして、こことここの壁を壊して鍼灸の治療室にして、このトイレを壊してもっと大きくてきれいなトイレを作って、、、」と、頭の中に「鍼灸とヨガのセンター」の完成予想図を作り上げてしまったそうです。
すぐに妻は、自分が描いた青写真に確信を持ったので、大喜びで全員に「ここに決めた!」と言ったところ、全員が猛反対したそうです。
全員があまりの古さと汚さにショックを受け、全員が売り主に聞こえないように、妻に小声で「こんな古くて汚いところで開業したら、誰も来ないわよ。他を探しましょう。」と言ったそうです。(笑)
しかし自分の頭の中に描いた完成図に100%の自信を持っていた妻は、全員に「もうここを買うことに決めた。ここで開業するわ。」と言ったところ、全員が「こんなところを買ったら、お金をどぶに捨てるようなものだ。」と、言ったそうです。
妻は良くも悪くも、超がつくくらい頑固ですから、自分がこうと決めたら、周囲の意見など1%も聞きません。(笑)
しかしその後、妻のデザインで素晴らしい「鍼灸とヨガのセンター」が完成した時、全員が驚いたそうです。
最後は妻が正しかったことが証明されたわけですが、僕も古い時の写真と、完成後の写真が送られてきた時には、あらためて「もしも妻が周囲の忠告ばかり聞いていたら、最初から綺麗で値段が高い家ばかり探して、かなり開業が遅れたに違いない。」と思いました。
妻は貯金ゼロでスペインに行って、僕が毎月送金するお金を貯めて、1年で古い家を安く買って、安い費用で全リフォームして、なおかつ素晴らしいデザインの家にしてしまったのですから、彼女の功績は本当に大きいものでした。
かくして妻は、誰も買いそうもなかった、古くて汚いその物件を、その場で買うことを、売り主に伝えたのでした。
妻にはある考えがあったので、売り主に「買います。」と言って、その場ですぐにある交渉をしたそうです。
その時の、売り主とのやり取りは、次のようなものだったそうです。
妻「この家を買わせていただきます。ただ1つだけお願いがあるのですが、、、」
売り主「何ですか?」
妻「銀行からの借入金を、出来るだけ少なくしたいので、頭金を売り値の3分の1くらいにしたいのです。そうなりますと、頭金の額が高くなるので、頭金を1年間の分割払いにしていただけないでしょうか?」
売り主「わかりました。私も早く売りたいので、それでかまいません。」
ということで、すんなり交渉はまとまったそうです。
売り主としては、リフォーム工事費を全く使わずに、古くて汚いままで売れるのなら、頭金の1年の分割払いなど安いものだ、と思ったのかもしれません。
妻は妻でそんな売り主の心理を読んだから、絶対に断られない自信があったのだと思います。
それでも後日、妻からその話しを聞いた時、その場でそんなお願いをした妻も、大したものだなと思いましたし、頭金を1年間の分割払いでいい、と言ってくれた売り主も、本当にいい人だなぁと思いました。
この1年後に僕はスペインに行ったのですが(今から34年前の1990年)、この売り主に会いましたが、思った通りのいい人でした。
とは言っても、これは今から35年前の話しですから、スペイン人の金銭感覚も、35年前と今では全然違うので、現代では、相手がどんなにいい人でも、家の売買で妻がやったような交渉は通りません。
全てにおいて幸運だったと思います。
続きは次回のお楽しみに!
それではまた来週の金曜日にお会いしましょう!
みなさんお元気で!
スペインのイルンより心を込めて、、、
水谷孝