スペイン出発前の最後の仕事 その8. | 水谷孝のブログ「つれづれなるままに」

おはようございます!

 

みなさんご機嫌いかがですか?

 

前回からの続きです、、、

 

兄に代わって、再び僕が指揮を執り、兄にはとりあえず支配人と一緒に営業回りをしてもらうことになりました。

 

支配人のY君は、元々は兄の友人で、兄の紹介で僕のところに支配人として来てもらったので、兄とY君の関係は良好でした。

 

良好とは言っても、僕から見た二人の関係は、一言で言えば、よくある学校のクラブ活動の先輩と後輩といったような感じで、Y君はいつも兄の指示に100%従っていました。

 

なのでスタッフたちの中で、唯一Y君だけは、兄のワンマン体制に何の不満も言いませんでした。

 

そんな関係の二人でしたから、楽しそうに営業回りに出かけました。

 

スタッフたちは、兄と支配人が営業回りに出ている間、気持ちも新たに再びハッピーな気持ちで仕事を再開しました。(鬼の居ぬ間に洗濯?笑)

 

午後になって、兄とY君が、営業回りから帰って来ました。

 

帰って来た二人に「どうだった?」と聞くと、兄はにこやかに「まだオープンして1ヶ月なのに、どこの会社でも予想以上にホテルの評判がいいんで驚いたよ。」と答えたのですが、Y君は、少し固い表情で何も言わずに黙っていたので、僕は、Y君に「どうした? 元気がないけど何かあったのか?」と尋ねました。

 

Y君は「いえ、別に何もありません。」と答えました。

 

僕は、Y君の顔を見て「これは何かあった顔だ、、、」と思ったので、その場では「わかった。何もなければいいんだけど、何か問題があったら必ず報告してくれよ。」と言って、解散した後で、すぐにY君を呼び出しました。

 

そしてあらためて「さっき部長と一緒に営業回りから帰って来た時、元気がなかったけど、本当に何もなかったのか?」と聞いてみました。

 

するとY君の顔がだんだんと苦渋に満ちた顔になっていったのです。

 

しかし何も言わないのです。

 

Y君の苦しそうな顔を見ただけで、「これは相当話しずらいことに違いない、、、」と確信したので、「営業に回っていた間に何かあったんじゃないのか?何か私に言いにくいことなのか?」と重ねて尋ねたところ、ようやく僕に話す決心がついたようで、重い口を開いてくれたのです。

 

Y君との会話は大よそ次のようなものでした。

 

Y君「実は今日は部長がずっと無免許で運転していたのです。申し訳ありません。部長は「自分は免許取り消し中だから、運転は君がやれ」と私におっしゃったのですが、私はずっとぺーパードライバーで車を運転したことが一度もなかったので、怖くてハンドルを握ることが出来なかったのです。部長に「怖くて出来ません。」と言いましたら、部長は「わかった。それなら君はやらなくていい。俺がやる。但し俺は免許取り消し中だから、俺が運転したことがばれるとまずいから、俺が運転したということは、誰にも言うなよ。」とおっしゃて、けっきょく部長が最初から最後まで運転したのです。すぐに報告しなくて申し訳ありませんでした。」

 

なんと兄が無免許運転をしていたと言うのです。

 

僕「それじゃあ何か、免許を持っている君がずっと助手席に座っていて、免許取り消し中の部長が、ずっと運転していたって言うのか?」

 

Y君「はいそうです。」

 

僕「冗談だろう?」

 

Y君「申し訳ありません。本当です。」

 

僕「もし無免許運転で人身事故を起こしたら、どう責任を取るつもりなんだ? せっかくみんなで頑張ってきたのに、ホテルの信用だって失墜するんだぞ。君たちはそういうことを考えなかったのか?」

 

Y君「一応部長には「やはり無免許で運転するのはまずいです」と言ったのですが、、、。私が運転出来ればよかったのですが、、、。本当に申し訳ありません。」

 

僕「わかった。もういい。これは止めるべき立場にありながら、無免許運転をした部長が悪い。だから君はもう自分を責めるな。話してくれてありがとう。今から部長と話しをするから。事が重大だから部長には厳しく言わなければならないけど、君は何も心配しなくていいからな。」

 

ということで、兄と話しをすることになりました。

 

兄は仕事に関しては、厳しいくらいにきちんとやる人間だったのですが、どういうわけか、車を駐車する時に、駐車出来る場所がないと、平気で駐車禁止のところに駐車する癖があって、そのために何度も駐車違反でキップを切られ、減点もされるということを、何度も繰り返したため、2度も免許取り消しになったほど、車に関してはけっこういい加減なところがありました。

 

なので支配人のY君から、兄が無免許で運転した、と聞かされた時も「あの兄貴ならやりかねないな」と内心思いました。

 

兄には全員の模範となるような総責任者になって欲しかったので、無免許運転のことは厳しく叱責し、反省を促さなければと思いました。

 

ちなみに、今回お話しさせていただきました、兄の無免許運転の件ですが、これは今から34年も前の出来事ですので、すでに時効となっている上に、当事者である兄もすでに7年前に他界しておりますので、ブログでお話しするのは問題なしと判断し、今回お話しさせていただきました。

 

続きは次回のお楽しみに!

 

それではまた来週の金曜日にお会いしましょう!

 

みなさんお元気で!

 

スペインのイルンより心を込めて、、、

 

水谷孝