最近の作品では家族と絶縁していた女性作家の話などが多いのはかなりの時代の流れかなと思うところありました。杏演じる里谷千紗子や、中須翔真演じる犬養洋一と里谷拓未屋や、佐津川愛美演じる野々村久江や、酒向芳演じる亀田義和や、安藤政信演じる犬養安雄や、奥田瑛二演じる里谷孝蔵などのキャスティングがなかなかいいなと思いました。やはり日本に子供の虐待問題はかなり深刻てあり、今回の作品はかなりそういった問題に立ち向かった作品だったなと思いました。

 

芥川賞作家であります本谷有希子の同名小説を趣里の主演で映画化しました関根光才監督の「生きてるだけで、愛。」がかなりの衝撃作でしたので、今回の作品もかなり期待の高まるものでした。関根光才監督が北國浩二の小説であります「嘘」を映画化した事も含 め、関根光才監督が取り組む映画はかなり社会的な問題になるものが多いなと思うところもありました。難しいテーマばかりだなと。

 

この映画でも認知症の老人と虐待された少年というかなり日本に老いても重いテーマの部分を取り扱ってたのがものすごく壮絶だったなと。絵本作家の里谷千紗子は認知症の関係で絶縁状態だった父親の里谷孝蔵に認知症が発症したため、手続きが終わるまでの一定の期間だけ仕方なく故郷へ戻って介護をするという部分もかなりリアルに思えました。野々村久江と里谷千紗子が飲酒運転状態なのに出かける部分は多少の強引さを感じてしまいました。

 

車で轢いたと思った少年を家に連れ帰ってくるところや、飲酒運転事故の隠蔽もあり得るかなと思いつつも、多少の都合のいい展開に思えました。里谷千紗子が過去に自身の監督不行き届きで海で死なせてしまった息子のトラウマ部分はわかるのですが…。いくら里谷孝蔵が認知症といつても、自分の息子だと嘘をついて一緒に暮らすところも多少の疑問は残るものでした。犬養安雄の家に調査と言って里谷千紗子ご訪ねていくところもやはり上手く行き過ぎのようで…。

 

記憶を失った少年を助けるのはいいですが、医者である亀田義和も信じてしまうのも強引かなと。少年の身体に虐待の痕跡を見つけた里谷千紗子は少年を守るために自分が母だと嘘をついて一緒に暮らし始める展開も仕方ないとは思うのですが…。裁判で嘘をついて記憶をなくしたフリをしてたというところで救われた感はありました。認知症が進む父と少年と3人で次第に心を通わせていき、新しい家族のかたちを育んでいく里谷千紗子の考え方や行動がしっくりこなかったなと。

 

義理の父親刺殺場面も仕方ないとはいえ、あらゆる意味で強引さばかりがが目立つ映画でした。

 

835点 過去のトラウマウを引きづる気持ちは納得ポイント 8.3点