1984年ごろに自身がよく見ていました深夜のテレビ番組「SONY MUSIC TV」からかなりの影響力を受けました。プリンスの存在はそのころから知っていましたが、1985年2月9日に日本で公開されましたプリンス主演映画の「パープル・レイン」でかなりよりいっそう名前が知られるようになっていました。実際に「パープル・レイン」は名古屋では1本立てで小さい映画館で上映されていたこともあってか当時は見逃してしまい、その事をいまだに残念思っています。

 

「パープル・レイン」の影響で映画雑誌にいっぱい載るようになっていたため、マイケル・ジャクソンや、エディ・マーフィーに次ぐ黒人スターという位置づけが自分の中ではできていました。この映画の中でワーナーブラザースとプリンスが高額契約したということを説明していたため、この映画の出演もその中のひとつなのかと思うところもありました。この映画の尺が69分という事もありそれほど期待せずにいましたし、すぐに終わってしまうものだという感覚でした。

 

ここまで突っ込んで黒人問題を描いていたというのもかなり意外に思えました。実際に尺は長くないのですが、かなり思いっきり詰め込んだ密度の濃い内容になっていたなと感じました。ステージ上での華やかな姿とは想像もできないほどに、歴史的背景も含めて過去は色々と苦難に満ちたものだったというのがよくわかりました。生い立ちがここまで大変だったとは知りませんでした。

 

2016年4月21日に57歳で急逝した孤高の天才ミュージシャンでありますプリンスの真実に迫ったドキュメンタリー映画ではありますが、証言者がここまで数多くいるのも彼に関係している人たちや彼を信望して崇拝している人たちがよりいっそう彼の事を知ってもらいたいという思いの強さからくるのではと思うところありました。両親が離婚して父の方についていったにもかかわらず、プリンス自身の色々な問題で一緒に住めなくなったという親子関係のエピソード部分もかなり興味を抱くことができました。

 

オープニングのプリンスが亡くなった時の映像から始まり、過去にさかのぼって1958年にミネソタ州ミネアポリスでプリンスが生まれたときの社会状況や時代背景も含めたかなり細かい部分までしっかり説明していてグッドでした。プリンスの父親が音楽関係の仕事をしていたのも知りませんでした。アニメーションや写真なども駆使して、あらゆる人の証言に音楽も絡めた構成がかなり素晴らしいなと思いました。

 

ミシシッピ川も含めてミネアポリスなどの土地についての説明もわかりやすくてよかったです。数多くの白人がいる中で青春時代を過ごしたというのも大きかったかなと。プリンスが2004年にはロックの殿堂入りを果たすなどの大成功や、レコーディングを行っていた人里離れた御殿の建物の話なども色々よくわかりました。あらゆる意味でその生涯にわたってロック・ポップス界の頂点に君臨し続けたプリンスについて詳しく描いた愛情いっぱいでの快心ドキュメンタリー映画と実感です。 

 

892点 プリンスの人生を密度濃く描くテクニックに感服ポイント 8.9点