実話の映画化というのが大きいかなと。アメリカで1960年代後半から1970年代初頭にかけて中絶がタブーとされていた背景だからこそ、よりこういった事が問題になっていたのだなと思うところもありました。「ハンガー・ゲーム 」や「ピッチ・パーフェクト」シリーズのエリザベス・バンクスがジョイ役を熱演しててグッドでした。オープニングのベトナム戦争反対の抗議運動場面がかなりのインパクトであり、時代背景などもよくわかるものでした。

 

1968年は自身の生まれる3年前であり、こういったことがアメリカで起きていたことも知りませんでした。やはりこの時代を感
じさせる車や家などの雰囲気部分もあってかなりリアルに思えるものでしたし、淡々と進んでいく展開の中でもかなり熱くて強いものを感じるところが多々ありました。女性の選択の権利としての人工妊娠中絶をこうして扱えたというのも時代と考え方の変化によるものかなと。

 

1960年代後半から1970年代初頭にかけてアメリカで推定1万2000人の女性の中絶を手助けしたとされる団体でありますジェーンの実話をもとに描いたというのもかなり驚かされる部分でした。1968年のシカゴで何不自由ない生活を送っていたジェーンはかなり15歳の長女を可愛がっていて自慢にしてるのもよくわかりました。ジョイが第二子妊娠時に心臓の病気が悪化してしまうという展開はあり得ることとはいえ相当ショッキングでした。

 

唯一の治療法は妊娠をやめることだと担当医に言われる場面もかなり印象的でした。担当医があっさりと言ってしまったがために、その後の反動も大きかったのかなと。ジョイの命と子供の命とどちらを取るかといった部分もものすごく衝撃的でした。当時の法律で中絶は許されてないがために地元病院の責任者である男性全員から手術を拒否されてしまうといった絶望と現実問題がかなり心に突き刺さりました 。

 

ジョイか街で張り紙を目にしてジェーンを知る展開部分もかなりドキドキしました。違法だけど安全な中絶手術を提供するアンダーグラウンドな団体でありますジェーンにたどり着くのも納得です。ジョイはジェーンの一員となり、中絶が必要な女性たちを救うべく奔走するところもかなりゾクゾクするものでした。ジェーンのリーダーでありますバージニアの役を「エイリアン」シリーズのシガニー・ウィーバーが演じてるのも大きかったなと。

 

やはり倫理観の問題についてかなり考えさせられた人工中絶問題を描いた衝撃的問題作映画と実感です。

 

856点 繊細な問題とこの時代背景だからこそのこの物語がかなり壮絶ポイント 8.5点