大谷健太郎監督が高校時代は岡山県の高校に行っていたというのも大きかったかなと。大谷健太郎監督作品は「とらばいゆ」がかなりいい印象であり、「NANA」の時もかなりの情熱で映画を引っ張っていた感じがかっこよくて心地よかったなと。松下奈緒演じる青江里香と杉野遥亮演じる真中渓哉と山村隆太演じる真中淳也の三角関係をメインにして、岡山県の色々な部分を捉えていてよかったなと。

 

岡山県美作地域が舞台ですが、お茶の生産地というのは知りませんでした。真中渓哉を支える公務員の幼馴染の男性や同じく幼馴染の若女将の女性の親切ぶりと優しさ部分がとても心に沁みました。ピアニストの女性と茶葉店を営む兄弟の三角関係という描き方なども、自身が学生時代に取った自主映画を思い出させるものでした。両親が亡くなってしまい、家業の後を継ぐために東京から戻ってきた真中淳也が地元を盛り上げようとしているのはよくわかりましたが、やはりもう少し詳しく色々わかる場面が欲しかったかなと思うところもありました。

 

目力の凄さはやはり唯一無二である松下奈緒が、ガンで余命わずかなピアニストであります青江里香をさすがの存在感で演じていました。ですが、やはりもう少しガンでの苦しみ部分が伝わってこればと思うところもありました。さのあつこの小説「透き通った風が吹いて」が原案ですが、やはり脚本も担当している大谷健太郎監督が思った以上にもうちょっと話を膨らませれなかったのかなと残念に思うところもありました。

 

真中渓哉と真中淳也のふたりはお茶にかなり精通していてお茶当て対決なども面白いですが、やはり過去の部分が思ったほど描かれてないがために入り込めない部分もあったなと。真中渓哉が浪人生でもっと勉強しなければいけないのにもかかわらず、周りの影響で勉強できてないといった部分。浪人生なのに勉強してない周囲影響部分もとても引っ掛かってしまいました。やはり浪人生らしくなかったなと。

 

青江里香と真中淳也が東京にいた時に恋人同士だったというところも語りだけでなくもっとそういった過去のところも見たかったかなと思う次第でした。2年前にも青江里香が訪ねてきたにもかかわらず、追い返してしまうところなどもどうも…。青江里香がある日コンサートツアーのために美作へとやって来て演奏中に倒れてしまうのはよくわかりましたが、療養を兼ねてしばらく町で過ごすことになり真中兄弟の家で過ごす展開も周りは大賛成しているけれど多少の強引さを感じてしまいました。

 

ピアノ演奏で色々な思いを巡らせている青江里香の場面はよかったなと。そして青江里香が亡くなってしまってからの、真中渓哉の旅立ちも清々しくていい感じもやはりもっとあらゆる面で深く描いて欲しかったなと感じることの多かった映画でした。
 

840点 三角関係であっても貫き通す信念大切ポイント 8.4点