思ってた作品とはかなり違っていました。「悪人」や、「横道世之介」や、「さよなら渓谷」や、「怒り」や、「楽園」など数々の作品が映画化されてましたが、数多くが犯罪に絡んだ話であり、今回の映画に関しても然りだったなと。福士蒼汰演じる濱中圭介と浅野忠信演じる伊佐美佑とのコンビは新人とベテランで面白いなとは思いましたが、伊佐美佑がかなり濱中圭介の頭を叩くところはかなり強烈だったなと。

 

湖畔に建つ介護施設で100歳の老人が殺害されたということもあり、逆にどうしてこのような高齢者を殺害しなければいけなかったという部分がとても気になっていました。100歳であれば、あと数年もすれば…という点も含めてそういった部分がかなりのミステリーかなと思いました。大森立嗣が脚本も担当して執念をもってここまで描いているのだなというところを多々感じるところもありました。

 

看護師が介護士に患者を任せて仮眠するといった部分もとても気になりました。どこまで現実問題に近づけているという部分でもかなり興味深く思えました。滋賀県警であるがゆえに西湖は琵琶湖がモデルなのだなと思いつつも、西湖の西湖署の刑事という設定という部分もかなり気になるものでした。濱中圭介と伊佐美佑が違法に強引な取り調べをしたりするところなど、どうもいくら警察が執拗に犯人を見つけて強引に解決させようとする部分もたとえ実際にあり得ることかも知れないけれどもあまりにも無理矢理にし過ぎ感は否めませんでした。

 

財前直見演じる松本郁子のブレーキをかけずに車に突っ込む自殺行為的な展開部分も不自然で強引過ぎに感じました。伊佐美佑の過去の悔しい部分や、50人殺されている過去の薬害事件での悔しさ部分もどうも素直に伝わってこずに…。事件を追う福地桃子演じる週刊誌記者の池田由季は西湖署が隠蔽してきた薬害事件が今回の殺人事件に関係していることを突き止めるところも思ったほどピンと来なかったかなと……。

 

かなり時代が遡った過去の忌まわしい出来事から派生しているというのはわかるのですが…。根岸季衣演じる服部久美子の孫の土屋希乃演じる服部三葉のグループ行動部分もどうもあいまいに描かれていて…。彼女が犯人とにおわせている、彼女の看護師と介護士待遇部分もどうも本当に気にしてるのかどうかというのもものすごく気になってしまって理解できない部分でした。松本まりか演じる豊田佳代と濱中圭介の関係性もどうしてそうなってしまうのか??とかなり疑問に思わざるところも多々あったかな
と感じてしまいました。

 

実際の原作は薬害事件の事も施設の事も詳しく描いてあるのかもしれませんが、どうもすべてを描き切れなかったという点は「怒り」と似ているかもと。あらゆる意味で消化不良な点が多い映画だなと実感です。 

 

845点 過去の忌まわしい出来事が思ったほど伝わらずポイント 8.4点