ここまで徹底して描かれてるとは思わなくてかなり意外でした。悪徳警官を描いた映画と知ってはいましたが、ここまでのやりたい放題ぶりでかなり驚異的でした。1988年という日本がバブル期であるにもかかわらず、アメリカではかなりの問題が勃発していた時期というのも納得できました。ニューヨーク州ニューヨーク市ブロンクス区でハーヴェイ・カイテル演じる警部補のLTが麻薬や、賭博や、買春など警察官としてだけではなく人としてもあるまじき行為の数々に明け暮れているという過激ぶりもオープニングからかなり驚かされるものでした。

 

カトリック・スクール前で息子2人を車から降ろしたにもかかわらず、仕事に向かうため発車させる前の車の中でコカインを吸うという信じられない光景もありうることなのかなと。駐車してある車のトランクを開ける泥棒を無視したり、犯人を追い詰めるふりをしつつ結果的にそのうちの1人をアパートの上階に追い詰めても別の事件で手に入れた薬物を売人に与える場面もかなりショッキングでした。

 

警部補はその薬物を素早く吸ってから与えた薬物の一部を自分のために取っておくという光景も恐ろしかったです。ニューヨーク
・メッツ対ロサンゼルス・ドジャースのナショナルリーグのリーグチャンピオンシップシリーズ優勝決定戦でLTが多額の金額をかけてる現実、ドジャースのストロベリー選手を応援しているのにもかかわらずなかなか結果が出ないことに苛立ちを覚えるLTの心理的な面もかなりリアルで恐かったなと。

 

教会の尼僧が強姦されるという事件の事件現場の様子も血まみれで恐ろしくてトラウマになりそうなほどでした。LTは野球賭博でできた借金を穴埋めしようとするにもかかわらず、思うようにいかない展開もじれったくてイライラしてしまうほどでした。性行為をここまで大胆にしていたのも驚きでした。飲酒運転をしながらペナント・シリーズの試合結果を聞くのも壮絶でした。ここまでできるのは神が味方でがいるからかなのかなと。

 

1992年のカンヌ国際映画祭で上映されるも、ショッキングな描写や内容から賛否を呼んだのも納得です。不道徳な世界で生き、悪徳のかぎりを尽くしながらももがき苦しむ主人公LTをでハーヴェイ・カイテルが熱演で、全裸をさらけ出して表現してて驚異的でした。ラストの車の中で射殺されるLTの様子こそ、ある意味勧善懲悪をしていた人間が、逆に勧善懲悪のために殺されたというある意味皮肉的なものも感じました。

 

あらゆる意味で最後に射殺される結果が納得いくほどの悪徳警官壮絶映画と実感です。

 

880点 暴走する悪徳ぶりを止められないほどの過熱ぶりが壮絶ポイント 8.8点