ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランスとスイス合作映画であります「右側に気をつけろ」は1987年に製作されフランスで公開されたのも1987年ですが、日本で公開されたのは自身が大学に入った年であります1989年でした。1989年に大学に入ってからはヌーヴェルヴァーグに憧れて影響力を受けてる人が多かったこともあり、「右側に気をつけろ」という映画のタイトルはかなり強烈なもを感じさせるものでした。

 

「12歳以下のこどもには感染は確認されずに左利きによる媒介が確認された」というテロップからかなりの脅威と恐ろしさを感じるくらいのインパクトを与えられたなと思いました。第36回東京国際映画の中のNIPPON CINEMA NOW部門に公式出品されたという部分もかなり大きかったなと思いました。「世界各地に左利きを取り締まる『こども警察』が組織された」といった部分もかなり壮絶なイメージを焼きつけられるものでした。

 

こども警察の雄たけびを上げながら走っていく様子こそが、これからの日本の未来を予見させるものだなと感じるところもありま
した。常に予想のつかないこどもたちのゆかいな行動が笑いを誘いつつも、エネルギーは暴走して幼稚な倒錯と暴力がはびこるという部分も含めてこの映画にはかなり斬新な部分を感じざるを得なかったです。大胆かつ軽やかでパワフルな冒険映画というこの映画のコンセプト部分でも納得のいくものでした。

 

20XX年に世界では左利きを媒介するウイルスが蔓延し、こども警察による厳しい取り締まりが行われていたという部分もヌーヴェルヴァーグ的なフランソワ・トリュフォー映画を想像させるものでした。行方不明になった姉を探す名古屋愛演じる神戸りんがが姉の足取りを追うなかで運命の人と出会いながらも、その世界を変えていくと意気込む様子などもかなり強烈なものを感じました。

 

左利きのユートピアの場面が何といってもかなり異様な光景で驚異的な感じだったなと。やはり右手で弦を押さえて左手で弾くギター演奏のところは色々と思うところがありました。手書きテロップでの書いてある恐ろしい内容とほのぼのとした雰囲気がかなりのギャップでこれまた味があったなと。左利きが珍しくなくなってきたという部分もあってのことか、監督自身の思いもあってなのかと色々と考えさせるものでした。

 

あらゆる意味で左利きについて色々と考えさせられた問題作映画と実感です。 

 

815点 左利き人間にしかわからない苦労は数多いポイント 8.1点