思ってた作品とはかなり違ってたなと。ラルフ・ネルソン監督はシドニー・ポワチエが黒人俳優として初のアカデミー主演男優賞を受賞した「野のユリ」の監督でもあり、思った以上派手ではないですが堅実なキャリア積んでいたのだなと思いました。今から54年前の映画ではありますが、かなりの迫力とスケール以上にカラーの映像の新鮮具合が目立つ映画でした。インディアン居留地の事も含めて、アメリカを語る上では避けては通れない問題をこの映画は描いててかなり壮絶なものを感じました。

 

1864年のサンドクリークの虐殺についてますます知りたいなと思いましたし、オープニングの戦闘場面からかなり壮絶なものを感じました。キャンディス・バーゲン演じるクレスタ・リーと、ピーター・ストラウス演じるホーナス・ガントとのやり取りがとてもいい感じで感情移入できました。米国史の暗部である1864年のサンドクリークの虐殺を描くことで、1960年代のベトナム戦争でのソンミ村虐殺事件へのアンチテーゼを掲げた映画というかなり問題作的な側面を持つこともあり、そういった意味でも血塗られた歴史は繰り返すのだなという部分も含めてアメリカの暗部は隠せないものだとより多く感じさせるものでした。

 

インディアンでもこの時代ですと種族も分かれているがために、それぞれのインディアンの種族を知ることも大切だなと思うところでした。ホーナス・ガントの優しくて暖かい雰囲気をピーター・ストラウスが巧妙に演じててグッドでした。クレスタ・リーが暑苦しい感じの服装をしていて、いきなり下着を脱ぎだす場面はかなりのインパクトがありました。クレスタ・リーがホーナス・ガントに「血がついてるわよ」と言うと、「俺の血じゃない」と言い返すところもなかなかでした。

 

白人でもインディアンでも流す血は同じ赤い血なのだとという事も含め、人種問題の難しさ部分もかなり投げかけてるなと感じました。キャンディス・バーゲンもクレスタ・リーを堂々と演じててさすがだなと思いました。やはりああやって堂々と登場してくるインディアンの登場具合は、当時としては当たり前だったのかと思うとかなり不思議な感じはありました。ホーナス・ガントとインディアンが対決する場面もかなりの見せ場であり、ものすごくドキドキを覚えるものでした。

 

クレスタ・リーとホーナス・ガントが互いにひかれあう展開もかなり納得のいくものでした。クレスタ・リーはこの2年間をインディアンのシャイアン族と共に生活をしていたが、思うところがあって抜け出してきたのだという部分はかなり驚くものでした。クレスタ・リーがインディアンに対して悪い感情を持っていなくて、それ以上に同情的でインディアンに対して理解力があって言葉が話せるというところもかなり好感の持てるものでした。

 

シャイアン族を北軍の部隊総攻撃をする場面もかなりのものがあったなと感じました。サンドクリークの虐殺として伝わる歴史的事件をよりいっそう知りきっかけになった貴重な西部劇映画の問題作と実感です。 

 

875点 インディアンという言葉を死語にしてしまうぐらいの時代の変化も重要ポイント 8.7点