吉田恵輔監督は、「ヒメアノール」や、「犬猿」や、「愛しのアイリーン」や、「BLUE/ブルー」や、「空白」や、「神は見返りを求める」や、「ミッシング」など立て続けに話題作や問題作と作り続けてただけに、今回の石原さとみ主演で幼女失踪映画を作ったと聞いてついにここまで来たのかと思うところもありました。何といっても吉田恵輔監督が自身のオリジナル脚本で撮りあげたというのも大きかったなと思いました。

 

石原さとみ演じる森下沙織里と、青木崇高演じる森下豊と、森優作演じる土居圭吾のそれぞれのつらい思いと、やってしまった後悔部分がよく表現されてたなと思いました。そして森下沙織里と森下豊のもどかしい部分はかなり伝わってきましたが、色々な意味ですっきりしない部分は多かったなと。あえて事件が起きる時ではなくて、すでに事件が起きてから3か月経過しているというのも斬新に感じる部分もありました。

 

ですが気になる部分が多々あったのも否めませんでした。土居圭吾が実は規模の大きい博打に手を出してたり、そういった部分を警察を差し置いて追及するところなども含めて疑問に思えてすっきりしなかったなと。柳憂怜演じる警察の村岡の存在と行動や考え方も何かしっくりこずにぎくしゃくして違和感をいっぱい感じてしまいました。村岡が博打の大物を捕まえるために、土居圭吾が博打をやっていたことを中村倫也演じる記者の砂田裕樹に内緒にしてたところもかなり不思議に思うところもありました。

 

砂田裕樹の行動や存在も、正義感や報道の部分も何か中途半端で、結局彼がしたことや、取材したことなども何だったのだと思うところもありました。森下沙織里が娘の失踪時にアイドルのライブに行っていたことが知られたり、ネット上で育児放棄だと誹謗中傷の標的になってしまうところもかなり違和感を感じてしまいました。自分がちょっとライブに行って娘を預けてたにしても被害者であることには変わらないので、世間がこういう反応をするというところも本当にしっくりこなかったなと感じました。

 

森下沙織里と森下豊の考え方や行動で考え方に相違が出て、すれ違いになってケンカする流れの部分もかなり強引に思えました。ビラをいっぱい配ったり、似たような誘拐事件が起きたところのからみなどは考えてあるなとは思いつつも、どうも苦し紛れのように思えて仕方ありませんでした。森下沙織里は世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていたといことも含めて、結局どうも森下沙織里と森下豊の行動や考え方も納得いかなかったなと。

 

あらゆる意味でしっくりこない消化不良のまま終わってしまったような作品と実感です。

 

835点 映画の中も、映画自体も、真実が見えてこないもどかしさいっぱいポイント 8.3点