この映画の監督と原案と脚本担当はブライアン・デ・パルマですが、まぎれもなくブライアン・デ・パルマの映画であることは間違いないなと。この映画が作られた1973年ごろはまだアルフレッド・ヒッチコック監督が映画を撮り続けているという事もあり、この映画が公開された時の当時の反響なども知りたくなりました。シャム双生児を題材としたサイコスリラー映画ではありますが、石井輝男監督作品であります「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」を思い出さずにはいられませんでした。
1978年の「スーパーマン」でロイス・レインを演じていたマーゴット・キダーがそれ以前にこういった過激な映画にヒロインで出てたのは知りませんでしたし、かなり意外な感じがしました。テレビ番組のピーピングトムという番組が出てきた時点でかなりな驚きはありました。黒人青年とマーゴット・キダー演じるモデル女性のダニエル・ブルトンがエキストラで番組に出演後に意気投合して飲みに行く展開はかなり驚くものでした。
その後、ダニエル・ブルトンの家で過ごしていたら、いきなり女性が黒人青年を惨殺する場面はある程度の予想はついてたものの、かなりの衝撃はありました。思い起こせば1985年の自身が中学生の時に観ましたブライアン・デ・パルマ監督の「ボディ・ダブル」は未だに忘れられずにいました。元々はアルフレッド・ヒッチコックの「裏窓」が原点ではありますが、やはり窓からふと見た光景が実は殺人事件の現場だったらという部分も含めて色々と思うところはありました。
この映画の舞台のニューヨーク郊外のスタテン島にもかなり興味を持てるものでした。ダニエル・ブルトンの向かいのアパートに住むジェニファー・ソルト演じる女性記者グレースが黒人青年が惨殺される場面を目撃してしまうところも、うまく見せててさすがだなと思いました。ジョセフ・ラーチ役のチャールズ・ダーニングは、「セカンド・チャンス」での神様のチャーリー役が強烈でしたので、やはり今回も存在感あってよかったなと。
うまいこと隠ぺいして殺人事件はまったくないことにしてしまうけれども、誕生日ケーキのメッセージの文字などから次第に色々明らかになっていく展開はかなりドキドキするものでした。ウィリアム・フィンレイ演じるダニエル・ブルトンの元旦那でありますエミール・ブルトンの恐ろしい雰囲気の出し方もかなりゾクゾクするものがありました。 ダニエル・ブルトンは元々シャム双生児として生まれたが、切り離し手術を受けたため見た目ではわかりませんが、切り離した時の痛々しい傷跡が残っていてそれを見せる場面はかなりの恐ろしさを感じるものでした。
ダニエル・ブルトンの双子の妹ドミニクは死亡してましたが、ドミニクの意識がダニエルに乗り移っていてドミニクによって感情を支配されたダニエル・ブルトンの仕業だったことはある程度予想はついたけれどもショックでした。こういったところはアルフレッド・ヒッチコックの「サイコ」を思い出すものでした。あらゆる意味でシャム双生児のショッキングさをうまく生かしたブライアン・デ・パルマ監督の原点傑作サイコスリラー映画と実感です。
878点 スリリングな展開こそがサスペンス映画の醍醐味ポイント 8.7点