内藤瑛亮監督は自身と同じ愛知県出身であり、内藤瑛亮監督が「先生を流産させる会」をデビュー作として発表した時の衝撃ぶりも忘れられずにいました。「先生を流産させる会」取り上げた内容は実際に愛知県であった事件という事もショックだなと。「ミスミソウ」で内藤瑛亮監督が見せた残酷な恐怖描写もいまだに忘れられずにいました。そこに来てこの「毒娘」だけにかなり別の意味で期待感はありました。

 

この映画のポスターのビジュアルからてっきり佐津川愛美がタイトルに該当する役柄を演じているのかと思うところもありました。オープニングでカップルが廃墟のような建物に侵入して、行為をしようとしたら男の子の方が謎の女の子に襲われる場面はかなりのものを感じました。新婚家族の出来事をモチーフにした謎の少女と家族との争いを描いた映画であり、松久育紀と内藤瑛亮監督のオリジナル脚本で描くといった点でも興味の持てるものでした。

 

設定やきっかけはそれほど重要ではなくて、どれほど恐怖を感じられるかが勝負と思うところを考えますとやはり物足りなさもありました。伊礼姫奈演じるちーちゃんが過去につらい目にあって、今現在は望まぬ家族と住んでるという事実部分も何か物足りないように感じました。佐津川愛美が演じる萩乃がもっと毒々して変化していったり、実際の産みの母親でないがゆえに良くない方へ変化していくのかと思いきや、結果的に善良のままで終わってしまうのはどうも…。

 

あれだけ部屋をちーちゃんが汚くしたにもかかわらず、簡単に部屋がきれいになってしまってたのもとても気になりました。ちーちゃんがもっと悲惨な生い立ちを嘆いて泣き叫べばいいものを、やはりじゃれてるだけにしか見えないのも問題かなと。植原星空演じる萌花が学校に通わずに勉強は自分でしていて、好きな事をして過ごしているのはかなりうらやましく思えました。後妻である萩乃が旦那や義理の娘である萌花とうまくやっていこうとするのもわかるのですが…。

 

ちーちゃんが恐ろしいことをし始める部分も何か弱く思えてしまいました。伊礼姫奈はやはり蒼井優に似てるなと感じる部分も多々ありました。ちーちゃんが竹財輝之助演じる篤紘を刺してしまうところはかなりの迫力だったなと。ちーちゃんと萌花が仲良しになって毒されていく部分も面白いのですが、どうももっとおどろおどろしい因縁めいた奥深さもほしかったかなと思うところもありました。

 

ホラーながらも綺麗にしたかったという監督の願望があったからこそのこの映画かなと思ってしまうところもありました。あらゆる意味で不自然さと強引さが目立つ映画でした。

 

845点 毒が足りないかもとも思ってしまう娘の悲しさもっと欲しいポイント 8.4点