38年ぶり観ることができ、感慨深いものがありました。第58回アカデミー賞作品賞を受賞したこともあり、今回もまた久しぶりに観るとはいえどもそういったところが頭をよぎるものでした。161分という上映時間の長さは今では珍しくもないですが、当時のフィルム時代の事を考えたらかなりの製作費もかかっているのではと思わせると同時に映画館にかけるうえでもかなりリスクが伴っていたのではと思わせるものでした。

 

この映画の時代設定の1913年はもちろんですが、さらにこの映画を撮影したであろう1980年代でもアフリカの未知の部分が大きかったといった点では撮影の苦労もあったのではと考えてしまいました。メリル・ストリープ演じるカレン・ブリクセンと、ロバート・レッドフォード演じるデニス・フィンチ・ハットンと、クラウス・マリア・ブランダウアー演じるブロル・ブリクセン男爵の主にこの3人で物語は構成されてますが、プロフェッショナルなこの3人だからこそのこの映画かなと思わせるものでした。

 

作品全体の7割はアフリカのケニアのナイロビで撮影されたということもあり、映像でかなり美しい場面も見れるのもこの映画ならではだなと。ンゴング酪農場や、復元されたカレンの家などもやはりかなり時代を思わせる雰囲気でよかったです。1914年のナイロビ市の復元もさすがだと思いましたし、当時の時代背景描写も見事でした。特に強く感じたのはクラウス・マリア・ブランダウアーという役者の必死さであり、その部分をあらためて再認識するものでした。

 

「ネバーセイ・ネバーアゲイン」で見せた狂気ぶりも、今回の映画で見せたリアルな悩める男ぶりも、オーストリア出身という彼の出身の背景があってからこそかなと。1913年のデンマークで結婚したカレン・ディネーセンとブロル・ブリクセン男爵の結婚への発展ぶりや、2人がアフリカに移住して酪農場を始めることを計画するといった流れも納得できるものでした。デニス・フィンチ・ハットンが絡んでいた象牙を売って儲ける商売などもとてもリアルに思えました。

 

カレン・ブリクセンとブロル・ブリクセン男爵の間で起きる色々な問題の数々、コーヒー農場や梅毒の事も含めてやはり起こりうるものだと感じる部分が多かったです。カレン・ブリクセンとデニス・フィンチ・ハットンとの関係が親密となり、2人が恋人
同士になる場面もかなり理解できるものでした。メリル・ストリープとロバート・レッドフォードはすべてを心得てるかのような懐の深い演技ぶりで感情表現してて本当にさすがだなと思う次第でありました。

 

ライオンに襲われたり、火事になってしまうアクシデントもデニス・フィンチ・ハットンとカレン・ブリクセンが飛行機で一緒に飛んできれいな景色を眺める場面ですべて払拭されてしまったような爽快感はいっぱいありました。デニス・フィンチ・ハットンが飛行機の墜落事故で死んでしまった事や、カレン・ブリクセンが後に作家や語り手となってアフリカでの経験について執筆したという結末も心に沁みる感動的な第58回アカデミー賞作品賞受賞大作映画と実感です。 

 

888点 色々な意味で果てまで行ってしまうくらいの極限追及壮絶ポイント 8.8点