1976年のリチャード・ドナー監督作品であります「オーメン」にグレゴリー・ペックが出てたというのも今考えると凄いことだなと思いました。どうしても、1973年のウィリアム・フリードキン監督作品の「エクソシスト」と比較してしまいがちだなという部分もありました。666の悪魔の数字は、当時ではブームになるくらいの衝撃度の高さが当時はありましたし、「オーメン」が「悪魔の子」ダミアンに翻弄される人々の恐怖を描いて世界的ヒットになってから48年が経ったというのも感慨深いものがありました。

 

名作ホラーとなった「オーメン」をどうして48年経過してから前日譚という形で描こうとしたのか?と思う部分も多々ありました。ダミアン誕生にまつわる秘密を明かしたホラー映画である今回の作品ではありますが、当時の映画をタイムリーで観てる人もかなり減ってしまったのだろうと感じてしまいました。前日譚という形でしか描けなかったのか?リメイクではダメだったのか
という気持ち部分もありました。

 

ネル・タイガー・フリー演じるマーガレットや、タウフィーク・バルホーム演じるガブリエル神父や、ソニア・ブラガ演じるシルヴァ修道院長や、ラルフ・アイネソン演じるブレナン神父や、ビル・ナイ演じるローレンス枢機卿や、ニコール・ソラス演じるカルリータなどのキャラクターもかなりショッキングで個性的だなと思いました。「オーメン:ザ・ファースト」の舞台は1971年のローマであり、当時の時代性や雰囲気が映像からひしひしと伝わって来てグッドでした。

 

ローマのロケーション部分は本当に素晴らしく思えました。司祭のローレンス枢機卿に呼ばれてアメリカからローマの教会にやってきたマーガレットが教会に住む少女カルリータと、教会の陰謀を追うブレナン神父との出会いを通して教会と自分自身の真実を知ることになるという設定部分は神秘的でいいと思いました。ですが、色々な点で強引過ぎかなと思うところも多々ありました。

 

ネル・タイガー・フリー自身はイギリス出身ですが、彼女のマーガレット役への強烈なアプローチがあってからこそのこの映画かなと。若さ溢れる感がにじみ出ててグッドでした。ネル・タイガー・フリーが魅せる若さゆえの過ちと犠牲にさせられる無惨な感じも、こういった映画だからこそかなと感じる部分もありました。アメリカ人のマーガレットは新たな人生を歩むべくイタリアのローマの教会で奉仕生活を始てからしばらくして不可解な連続死に巻き込まれてしまうといった展開もわかっていてもゾクゾクしました。

 

やがて教会の恐ろしい陰謀を知るというマーガレットのショック部分も見事に表現されててよかったですし、全てを明らかにしようとするマーガレットがさらなる真実が待ち受けていたという展開も納得です。マーガレットが身籠ったのは双子の男女というところもやはり思うところありました。ラストで男子だけ取られて、母と娘がまるで色々なものに追われるかのようにに逃げて行って隠れ家に逃げ込む展開も納得です。最後に追手が家に来るところもゾクゾクしました。あらゆる意味で野心的な前日譚映画と実感です。 
 
815点 知らなくてもいいことを知ってしまったときの身の毛もよだつ感じが脅威ポイント 8.1点