何といってもこの映画の脚本と監督を担当した荒木伸二監督に対してあらためて非常に興味を持てました。荒木伸二監督第一回監督作品であり、荒木伸二監督が2017年に第1回木下グループ新人監督賞の準グランプリを受賞した作品を脚本と監督担当で映画化した「人数の町」はかなりの衝撃的な映画でした。「人数の町」は荒木伸二監督にとっては初の長編映画でしたが、この映画の世界観と淡々と進んでいく話の展開は今までにないものを多く感じることができました。

 

荒木伸二監督がシナリオスクールに入学し仕事の合間に通うようになった2012年には荒木伸二監督の年齢がもう40歳を過ぎていたという事も含めて、荒木伸二監督と自身との共通点もあるのかもと。荒木伸二監督が45歳を過ぎて脚本がコンクールで受賞しはじめたという部分もある意味夢をあきらめないことの大切さを教えてくれるものでした。今回の作品の始まり方から「人数の町」を思い出させるものも多かったなと。

 

一見、「GANTZ」の実写映画を思わせるような雰囲気でもあり、またそうでもないようなものもあったのかなと。今回の映画で伊勢谷友介を起用したことも含め、荒木伸二監督の勢いとチャレンジ精神は不屈なのだなと感じました。若葉竜也演じる岩森淳がベッドで寝ているといきなり、おはようございます6月6日月曜日晴れ今日の花はアイリス花言葉は希望ですと時計からいつもの声が聞こえてくるところからかなりショッキングで衝撃的で恐ろしかったなと。

 

山下リオが美しいルックスを残しつつもまた違った雰囲気で砂原唯を演じててグッドでした。砂原唯殺害関係で警察のいる場面もかなり強烈なものを感じました。伊勢谷友介演じる溝口登を殺害し、疲れて岩森淳が眠りについて翌朝目覚めると周囲の様子は前日のままで溝口登もなぜか生きている。そういったところは、ベッドで目覚めたらいつも同じ日の朝といったハロルド・ライミス監督作品の「恋はデジャ・ブ」を思い出させるものでした。

 

岩森淳がなぜ同じ日を繰り返すしてるか問いただすと、すでに同意されてますと同意書が出てくるところもかなりゾクゾクしました。岩森淳が銃でとぼけて撃ってしまいましたと言いつつも、しっかりと溝口登を撃ってしまう場面の場面づくりと緊張感はなかなかなものでした。何度でも復讐できるというプログラミングこそが、犯人に愛するものを殺された人間の理想的な仕組みではないかと考えてしまいました。

 

そういった意味でも本当に人の憎しみや悲しみは無限大だなと思うところでした。あらゆる意味で荒木伸二監督の気持ち部分が全面に出た異色復讐不思議映画と実感です。 

 

855点 ループを繰り返して殺してもまた殺せる快感壮絶ポイント 8.5点