「交換ウソ日記」や「なのに、千輝くんが甘すぎる。」などの松竹配給の若者恋愛映画が好調で内容もいい感じの作品が最近多かったためも今回の映画もかなり期待するところはありました。 累計発行部数210万部を突破した藤ももが原作の人気少女コミックの映画化であり、ある意味映画化は必然だったかもと。宮世琉弥と原菜乃華の主役キャスティングは納得しつつも、男性の方が男性アイドルで、女性の方が若手演技派女優というというパターンが多い中での両方ともほぼ本格的な俳優二人というのもあるのだなと思いました。

 

シンガーソングライターの一面もある宮世琉弥の表現力部分にはかなり斬新なものがあったかなと思いました。原作があることもあり、あまりオーバーな話の展開や恋愛場面のスケールの大きさの飛躍部分も制限があったのかもと感じてしまいました。 原菜乃華は「ミステリと言う勿れ」とはかなり違った雰囲気を出していてグッドでした。自身は新城毅彦監督の若者恋愛映画が大好きであり、その作品の大半はかなり感情移入できるものが多かったなと改めて思い出すところもありました。

 

地味で目立たない原菜乃華演じる女子高生の市村恵莉子が宮世琉弥演じる近江章と妄想の中で恋愛しているというのは興味をかなり持つことができました。今の世の中はJKは特にスマホは必須アイテムなのだなと。近江章が実は思ってた以上に嫌な奴だったり、市村恵莉子のSNSの妄想のつぶやきが近江章本人にバレてしまうところなどはもうひとひねりほしかったなと思いました。

 

市村恵莉子の妄想感激ショット場面はハッシュタグでの変化もあってビジュアル的にも展開的にもよかったです。こういった映画で評価が分かれるポイントは、ヒロインが色々と努力などをしてて信念を曲げない部分を持ってるかどうかでもかなり違ってくるのではと思いました。こういった作品ではライバル作品も多いため、何か抜きんでるものが必要だったかもと。今回の映画はそういった障害部分や努力部分で甘いなと思うところが目立ってしまったかもと感じました。

 

原菜乃華が放つ健気オーラはいいのですが、思ったほどに守ってあげたいなと思えない部分が多少の難点かなと思いました。近江章の叔父でもある国語教師の小関裕太演じる汐田先生も思ったほどに活かされてないのも気になりました。近江章のライバル男の存在の脅威部分が思ったほどでなかったのも残念でした。差し入れ食中毒のための市村恵莉子の身代わり実行委員の暗幕を持ってきたりなどするまさかの大活躍展開も何か物足りなくとってつけっぽいのも気になりました。

 

三木康一郎の監督作品は「覆面系ノイズ」や、「リベンジgirl」や、「10万分の1」などのいい作品も多かったために、どうも今回の作品は物足りなさが目立ってしまいました。原菜乃華のアプローチ演技が想像以上に淡白な感じにも思えたのも残念だったかもと。市村恵莉子と近江章の交際のもどかしさ部分も思ったほどでないのもかなりショックかもと…。周りが気を利かせてのハッピー展開もやはり思った以上のうまさと自然さが欠けてるかもと思いました。あらゆる意味で物足りなさが満載の映画でした。 

 

815点 エリーも時代が変わるとスマホ依存エリーに変身ポイント 8.1点