約50以上もソフト化されてなかったというのも納得できるほどのショッキングな内容だったなと。小林桂樹が正木ひろし役を熱演しててさすがでした。やはり全ては戦争によるものの大きさがあったなと。茨城県でこういった炭鉱があることは知りませんでした。第二次世界大戦中の昭和19年1月20日茨城県那珂郡長倉村の採炭業者が賭博および闇物資横流しの嫌疑で拘引された後に、巡査部長による取調べ中の殴打が原因で死亡するという事件が発生したというのはかなり驚きました。

 

オープニングからのこういった取調べ中の殴打を思わせるカットからかなりショッキングでした。死亡した採炭業者は炭鉱の掘るところの道先案内人のような重要な役割の男だったというのもよくわかりました。戦時中だからこそというのもあったのかもと。 神山繁演じる田代検事のインパクトは凄かったです。当時の汽車の様子などもかなりリアルに思えましたし、モノクロ映像がまさに時代性をかなり痛々しく表現してたなと。

 

警察は動脈硬化性脳出血による病死として処理しようとしましたが、採炭業者の雇主から相談を受けて拷問が原因との疑いを持ったというのもかなり壮絶でした。実は死んだ男の勤務先の炭鉱のライバル炭鉱が警察とつるんでやりたい放題やってたという事実もかなり衝撃的でした。首を列車で運ぶ場面はある意味傑作でした。こういった緊張感のある場面と演出は見事だなと。ここまでしないと真実は見えてこないとい恐ろしさがありました。

 

古山桂治や、鈴木良俊や、南風洋子や、下川辰平などのキャスティングはグッドでした。弁護士の正木ひろしが墓地に赴いて埋葬されていた遺体の首を切断するといった行動力ぶりはさすがだなと。こういった警察内部告発的映画であるがためにずっと半世紀もの間、この映画は封印されてたのかなと思うほどでした。サスペンス的な要素もかなりあり、電車に間に合わせるために車を急かせる場面はかなりスリリングで手に汗握るものでした。

 

結果的にクビそのものは東京帝国大や慶応大の法医学教室などをたらい回しにされた挙句に戦争で燃えてしまったというオチも強烈でした。東京帝国大学法医学教室の古畑種基教授のもとに持ち込み鑑定を依頼したのちに、古畑種基教授が外傷による他殺と鑑定したことを受けて、正木ひろしは巡査部長と死亡直後に司法解剖を行った警察医の2名を告発したという展開もよくぞここまでやったと思うものてした。

 

あらゆる意味で実際の首なし事件をもとに描いた力作正義感映画と実感です。

 

878点 首を賭けて首に託す的な必死さこそ大切ポイント 8.7点