1996年のアメリカ映画であります、バリー・レヴィンソン監督作品の「スリーパーズ」を思い出させるものでした。少年時代にここまで衝撃的な事が起きてしまって強い絆で結ばれるという部分も含め、齊藤勇起監督はかなりここの部分を強調して伝えたかったところかなと。齊藤勇起監督のオリジナル脚本作品という部分も含めて、かなり齊藤勇起監督の強い気持ち部分が反映されてたなと思いました。

 

少年時代の事件をオープニングからじっくり見せていて、阪本春、吉田晃、朝倉朔たちの登場人物のテロップを出すところも齊藤勇起監督のかなりのこだわりを感じてしまいました。犯人はわからず、何者かに殺された仲間である13歳の少年正樹の遺体場面。川原の石の上でうつ伏せでぐったりとなってる様子は相当ショッキングでした。少年殺しの犯人かと思われた不審な男の家に同級生の阪本春、吉田晃、朝倉朔が押しかけてもみあいになる場面はうまく見せてたなと。

 

朝倉朔が割りと積極的に不審な男を攻撃していたのも後から明らかになる部分はかなり思うところありました。阪本春が責任取って自分だけ罪をかぶり、不審な男の家に火をつけるところはなかなかなかっこよさでした。少年時代のかっこいい雰囲気の幕切れとは裏腹に、大人になってからの関係性や行動などが何かしっくりこずに今一つのように感じました。主要の3人が大人になってからのパートを高良健吾と大東駿介と石田卓也で固めてきて凄いなと。

 

大きくなってからの双子の兄弟であります朝倉朔と朝倉直哉の部分も謎っぽくしてありますが、やはりわかりづらいところもあったなと…。村上淳がまさかの反社会勢力の頭を演じててかなり驚きでした。椎名桔平演じる佐藤と現場で逃されてからの最後は
殺されてしまう少年との関係性部分ももっと理解できたらなと。阪本春と吉田晃がかなり立場が変わってしまい、お互いを探るように会話してるところはかなりゾクゾクしました。

 

ですが、どうしてもしっくりこないところが色々な意味で感じられて後半はのれなかったと。佐藤浩市演じる親分的存在人物などもどうもとってつけのようで…。吉田晃が刑事になり、父の死をきっかけに町に戻ってきたというところも本来ならもっとかっこよく思えるのですが…。少年の死体がきっかけで過去の事件がクローズアップされるところも、本来ならもっとスリリングでゾクゾクするのですが…。

 

朝倉朔と朝倉直哉の部分や、引きこもりや、血の付いた石なども含め不自然で強引な謎解きのところがどうもかなりひっかかりました。朝倉朔が北海道に移住するという話をきっかけに真実ばれての糾弾場面も本来ならもっと盛り上がるはずが…。あらゆる意味で最後の最後までしっくりこずにすっきりしない映画でした。

 

835点 石田卓也の思いつめ演技のキレと鋭さ抜群ポイント 8.3点