スタジオジブリを退社した西村義明プロデューサーと米林宏昌監督の新作映画を作るために設立したスタジオポノックの久々の作品と思ってましたら、2018年の「ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-」以来の作品であり、長編アニメーション映画としては「メアリと魔女の花」以来6年ぶりの作品という事も含め期待するところもありました。サン=テグジュペリの「星の王子さま」を思い起こさせるようなキャラクターとイメージ部分が、やはり今回の映画の重要部分であったかもと。

 

実際はA・F・ハロルドの児童文学であります「ぼくが消えないうちに」を映画化したものであり、かなり影響力のあったものだったのだなと。百瀬義行監督作品であり、やはり色々な意味でジブリ的でありつつも、ジブリとはまた違った面もあったなと感じました。正直なところを言いますと、キャラクターはジブリ映画のような感じでデザインも似ていてなじみやすそうな感じでしたが、内容はかなりかけ離れてしまったのかなと思いました。

 

「メアリと魔女の花」が大ヒットしただけに、そのプレッシャーもあったのかなと。ポスターの明るい雰囲気とは違った全体的な部分で暗く重い雰囲気などもあり、もっとシンプルな内容部分で宣伝すべきだったかなと感じてしまいました。女の子のアマンダがヒロインでありながらも、イマジナリーフレンドのラジャーがクローズアップされてるのもどうかなと。図書館がメインの舞台でもあり、そこに多くのイマジナリーフレンドが集結しますが、やはりスマホ世代になっていることもあり、本の中のキャラクター満載で、想像世界満載な部分が現代の子供たちとのギャップを生んでしまったようにも思えました。

 

キャャラクターはジブリ映画のようで「めめめのくらげ」を思い出させるものでした。ヒロインのアマンダの想像によって生まれたイマジナリーフレンドのラジャーが色々出てきますが、実際の人間には見えない設定ももっと響いてきたら…。ミスター・バンティングと黒い女の子の追及部分もどうも…。図書館のイマジナリーフレンドもいっぱい過ぎのようで…。やはり観客がすでに知ってる
ことが前提でいきなり本題に入り過ぎのようにも思えました。

 

現実と想像が交錯する世界で起こる冒険を描いたファンタジーアドベンチャーではありますが、わかりづらさも多かったなと。愛を失った少女が生み出したイマジナリという誰にも見えない少年のラジャーが、想像の世界が消えようとするのを防ぐため仲間たちと誰にも見えない戦いに挑む姿もどうも感情移入しづらかったです。なかなか題材が難しかったのかなとも思いました。

 

あらゆる意味で物語の中に入りづらかった映画と実感です。 

 

830点 イマジナリーなキャラクターはもっとじっくり見たかったポイント 8.3点