監督の品川ヒロシが狛江の中学校にいたとは知りませんでしたし、品川ヒロシの書いた小説「ドロップ」でも狛江が登場していたのは驚きでした。品川ヒロシの監督作品であります「漫才ギャング」はとても好きな作品でもありますので、今回も期待するところはあったなと。品川ヒロシ自身の中学時代からの友人でもあり、小説の「ドロップ」にも登場する井口達也の青年時代を描いた実録不良漫画というのも驚きでした。

 

井口達也の実録不良漫画「OUT」を実写映画化するということもあり、かなりリアルな部分もあったのだと思いました。テンポの良さや、喧嘩場面の迫力はなかなかでした。「こいびとのみつけかた」で大人しい青年を演じていた倉悠貴が井口達也を演じていたのもかなり衝撃でした。人口が8万人しかおらず、どうしても世田谷の陰に隠れてしまう狛江がここまで取りざたされたのも嬉しいかぎりでした。

 

かつて狛江の狂犬と恐れられた伝説の不良の井口達也の少年院出所場面から面白おかしく描いててよかったですし、すぐに少年院に逆戻りしてしまうところもいい感じでした。井口達也が地元から離れた西千葉の叔父夫妻のもとに身を寄せることになり、焼肉店の三塁で働きながら更生を目指すことになる過程もよかったなと。杉本哲太演じる伊丹九蔵が井口達也に「おまえはバカだけどクズじゃない」という言葉がかなり重くのしかかってました。

 

暴走族と喧嘩という部分でもかなり時代遅れを感じるところですが、思った以上に古びた感じはありませんでした。。井口達也は出所初日に暴走族でありあす斬人の副総長の安倍要とケンカをしてしまい、結果的に相撲でカタをつけるところもいい感じでした。安倍要役をまさかの岡田健史改め水上恒司が演じててさらに驚きでした。ここまで化けていたとは…。井口達也の仲間に優しくする渡辺満里奈演じる伊丹静香もよかったなと。

 

醍醐虎汰朗演じる丹沢敦司の存在感もなかなかでした。今回はあらゆる部分でかなりリアルで迫力の満ちた場面づくりと展開にしてて驚きでした。ボーリング場での場面もうまく見せてたなと。暴走族のたまり場のボーリング場で与田祐希演じる皆川千紘が亡き兄のためにバイトをしている理由部分も心に突き刺さってきました。じろう演じる少年課の刑事の石戸の脅すような言葉遣いも相当リアルだったなと。

 

構想による大戦争が勃発する中で、それぞれが突っぱねあいながらも男気を見せて助け合う様子はかなり感動でした。戦い場面もかなりの迫力で凄かったなと。漫画の画と実写部分をオーバーラップしているところもいい感じでしたし、銃まで出てくる凄さ部分もかなり納得でした。あらゆる意味で不良漫画を豪快娯楽映画に仕立てた品川ヒロシ監督の意欲映画と実感です。

 

888点 喧嘩に明け暮れても貫き通したい信条大切ポイント 8.8点