50年ぐらい製作年数は離れているとはいえ、やはりニール・ジョーダン監督作品の「探偵マーロウ」の方がハードボイルドであり、エンターテイメントだったかなと。この「ロング・グッドバイ」はまぎれもなくロバート・アルトマン監督作品であり、どう見ても現代っぽくなっていたのはとても気になりました。エリオット・グールド演じる私立探偵マーローをどう捉えるかでも違ってくるなと。

 

どうしても帽子に銃などのハードボイルド探偵イメージからは離れていたかもと。私立探偵マーローが猫にエサをやるけれども、なかなか気に入ってくれない様子などは微笑ましくてよかったなと。猫と入れ替わりに友人のジム・バウトン演じるテリー・レノックスがやってくる雰囲気などはいい感じでした。容疑者をかくまった事に対してマーローが罪を着せられるも、なぜか3日後に釈放されるという部分の謎めいた感じはよかったかなと。

 

エリオット・グールドの2枚目ぶりは意表をついててよかったです。推理小説の驚かせテクニックである死体の入れ替え的な王道部分も、この原作とこの映画は踏襲してていい感じでした。「博士の異常な愛情」で独断で核戦争を始める精神異常のリッパー
将軍役で出演しているスターリング・ヘイドンがこの映画でも怪演しててさすがだなと。テリー・レノックスがメキシコのある町で自殺したという部分は、やはりメキシコへ逃げれば何とかなるといった考えがそうさせたのだなと思いました。

 

スターリング・ヘイドン演じる作家ロジャー・ウェイドの妻アイリーンから、行方不明の夫を捜してほしいと依頼が入ったのち
に、病院で作家ロジャー・ウェイドとヘンリー・ギブソン演じるヴァーリンジャー博士がやり取りする場面がかなり印象的でした。作品が書けなくなったロジャー・ウェイドが酒に溺れ、ヴァーリンジャーの病院にたどり着いていたとところなど、やはり中盤がかなり間延びしていたなと思いました。

 

私立探偵マーローがアパートに戻ると、いきなりマーク・ライデル演じるマーティ率いるやくざたちに取り囲まれるところなどはそれなりの感じでしたが、どうしても憧れのハードボイルド小説のイメージとは違ってたなと感じました。私立探偵マーローが車にはねられるところはなかなかでした。ロジャー・ウェイドが海に入っていく展開などは驚きますが、やはりそこに至るまでの過程にまどろっこしさを感じてしまいました。

 

テリー・レノックスが撃たれるラストカットはよかったですし、並木道でジープに乗ったウェイド夫人とすれ違った私立探偵マーローは気付かぬふりをして黙って立ち去っていくのもかっこよかったです。ウェイド夫人の存在感はいい感じでしたが、あらゆる意味でハードボイルド映画にしては物足りなすぎる映画でした。 

 

865点 ロバート・アルトマン的なハードボイルド感覚が独特ポイント 8.6点