軽蔑 1963年作品 ジャン=リュック・ゴダール監督作品
ジャン=リュック・ゴダールのセンスと才能がうかがわれる作品だったなと思いました。この映画は何といってもロケーションの力が大きかったかなと思いました。ゴダールの長篇劇映画の第6作ではありますが、この1963年という時代でここまでカラー映像で確立させていた部分もさすがだなと思いました。アルベルト・モラヴィアの小説がこの映画の原作ではありますが、この当時結婚して2年が経過していた妻との愛の苦悩部分をジャン=リュック・ゴダールが自己投影しているというのが痛いほど伝わってきました。こうして劇中劇にしているのも、そういった意味合いがかなり強かったのではと多々感じました。自身もなぜここまでにしてジャン=リュック・ゴダールの映画が支持されるのかがよくわからない時もありましたが、感性や映画の手法や概念なども含めて映画好きな人間に好かれる作品作りをしてるのだろうとかなり感じられるものでした。男女の間にあるものは何か?という問いかけにもこたえるべきものかなと思わせるものでした。フリッツ・ラングが本人役で出演していたのもかなり驚くべきことでした。1963年4月から5月にかけましてイタリア南部のカンパニア州ナポリ県にあるカプリ島や、チネチッタでロケーション撮影された映像美がなかなかでした。ブリジット・バルドー演じる女優のカミーユ・ジャヴァルと、ミシェル・ピッコリ演じる脚本家のポール・ジャヴァルの夫婦の様子などもうまく捉えているのだなと思いました。ジャン=リュック・ゴダールの映画の特徴的な部分であります撮影方法ですが、今回の映画もかなり撮影テクニックを使っているものの奇抜な部分はなく堅実に描写してたのも印象的でした。軽蔑という言葉がこの映画では重要になってきますが、そういった部分もうまく表現していたなと思いました。ポール・ジャヴァルがアメリカから来た映画プロデューサーでありますジャック・パランス演じるジェレミー・プロコシュと会うところなども心に残っています。フリッツ・ラングが1927年に監督した「メトロポリス」は今でも忘れられない作品です。フリッツ・ラング演じるフリッツ・ラングが現在撮影中の映画「オデュッセイア」の脚本のリライトをポール・ジャヴァルが受けるという部分などもかなりな展開だなと思いました。手紙を活用したり、車の衝突事故を表現したりする部分もジャン=リュック・ゴダールらしいなと思いました。裸で寝そべっている女性の上に本が置かれているところの構図も抜群でした。あらゆる意味でジャン=リュック・ゴダールの抜群なセンスと映像感覚を堪能できる貴重な愛の映画と実感です。880点 愛を色々な形で表現できる才能と表現力が素晴らしくてうらやましいポイント 8.8点