修理を開始した和櫛は
清掃が終わり、いよいよ本格的な修理に入ります。
まずは欠損部分の確認を。。。
一番大きな剥がれた螺鈿=菊花の横に、少し欠損部があるようですね。
こちらは、シャープペンシルで示した葉とその右側にある最小の葉で補完します。
既存螺鈿の図柄を見て気付いたのですが、全く同じ形、大きさの螺鈿があちこちに沢山使われています。
これは、大正や昭和初期の螺鈿職工さんたちが、生産費用の抑制と、作業効率を上げる手段として、パーツの大量生産をしていたことを伺わせます。。。
櫛上面の欠損部分。
こちらは、他の図柄の様子から、どうやら桜の花弁ペアが付いていたようです。
ここで、使用する貝種を検討。
ご依頼を請けた当初はアワビを想定しておりましたが、よくよく既存螺鈿を確認すると、真珠層の様子がなんか違います。この淡いグラデーション、、、アワビのうねうねした層ではなく、夜光貝のそれに似ておりますね。
以上の確認から、補完する螺鈿を作って行きましょう。
はじめは図柄のトレースから。
フィルムで既存螺鈿の形をトレースして行きます。。。
夜光貝の厚貝材料を使用し、
厚みは0.2~0.3mmという薄さに研磨調整。
輪郭をトレースして、、、
加工完了であります!
次は、いよいよ螺鈿の接着へ。。。
予め前日に裏塗りし、乾燥させていた菊花螺鈿。
大きな螺鈿は、裏塗りは必須ですね。
接着~乾燥時、裏側に空気が入ってしまいますと、螺鈿裏側部分に黒漆が無いか薄い状態となり、こうした部分が表側から白く見えてしまいますので。
蒔絵筆で、接着用の呂瀬漆(生漆、黒漆が半々)を、櫛の接着面と、螺鈿の裏側に塗って、、、
湿気のある簡易ムロで半乾きにさせ、、、
螺鈿を貼付(接着)します。。。
ピタッと貼れましたね。
セロハンテープで固定させ、一晩乾燥させます。。。
螺鈿貼付完了しました。
次は、漆塗りの補修へと移ります。
つづく。。。