先日の衆院予算委員会において、野田元総理が岸田総理に向けて質問に立ちました。残念ながら、岸田総理は全ての答弁において正面から答えることなく逃げ続けました。改めて岸田総理は政治改革においてリーダーシップを発揮できないことが浮き彫りとなりました。

 論議は自民党が提出した政治資金規正法の改正案に関することが主題でした。自民党案では、政治資金パーティーにおける購入者の公開基準を、従来の20万円超から10万円超とすることとしています。しかしこの内容にはカラクリがあり「年間ではなく1回あたり」であることとされています。これでは「年12回パーティーを行った場合、120万円まで年間で券を購入でき、氏名も不要」という行為もまかり通ってしまいます。一見反省しているような体裁を取りながら、実際は全く反省をしていない自民党の姿勢が滲み出ているような案です。また政治献金では外国人の寄付が禁止されていますが、パーティー券は外国人も購入が可能とされています。そして現在の制度では、公開基準未満であれば誰がいくら購入しているのか分からない状況となっています。これは安全保障という観点からも不適切です。
 そのような現状を鑑み、立憲民主党は「政治資金パーティーの開催の禁止に関する法律案」を衆院に提出しました。裏金問題は自民党の政治資金パーティーに端を発しており、政治資金パーティーの開催を規制するのは国民感情にかなっているためです。また、政治資金パーティーは、参加の対価という本来の目的が薄れ、事実上の企業・団体献金となっています。なぜなら、支払ったお金の対価であるパーティーには参加しないことが前提で、券を購入するだけの行為が当たり前となっているからです。会場の収容人数と比べると、5倍以上のパーティー券が売れていることなどからも明らかです。常識的に考えれば、対価を得ずにお金を渡すことなどありえません。パーティーに参加しないということは、それ以上の対価を求めている(もしくは既に受け取った便宜のお返し)ということであり、国の政策決定が大きく歪められている可能性すら否定できないのです。やはり政治資金パーティーは全面的に禁止すべきです。
 「お金に流されることのない、真に国民本位の政策立案をしよう」と決めたのが30年前の政治改革国会であったはずです。しかし当時の法律には抜け穴があり、一部の企業や団体の圧力を排除できていなかったことが、今回明らかとなりました。その結果、国民本位の政策が歪められ「失われた30年」となってしまったのではないでしょうか。この国にはもう、失ってよい時間など残されてはいません。だからこそ、このタイミングで少なくとも「政治資金パーティーの禁止・企業団体献金の禁止・政策活動費の廃止」を実現しなければなりません。ぜひ政治に目を向けてください。