朝の空気が冷たく感じる季節となりました。くれぐれもご自愛ください。船橋や市川のような都市部ではあまり聞きませんが、全国各地では選挙のたびに「与党議員がいなければ、地元に予算は来ない」と語られてきました。その言葉の危うさが、大臣の発言によって表に出ました。当該人物は今年5月、地元会合で、衆院選で対立候補を支援した首長のいる那須烏山市と那珂川町の道路予算を「大幅にカットした」旨を発言したと報じられました。簗氏は発言を認めつつ、国交省への働きかけは否定しています。しかし国交省の調査で、簗氏が配分決定前の2月中旬、当時の国交副大臣と官房長に両市町の配分額を照会していたことが分かりました。官房長は「はっきり覚えていないが、圧力はなかったと思う」と答えました。
結果を見ると、簗氏を応援した首長がいる那須町は34%増、那須塩原市は11%増。対立候補を支援した那須烏山市は63%減、那珂川町は54%減、大田原市も23%減でした。なお公平性の観点から付け加えれば、県主体の事業を合わせると、両市町の道路予算はむしろ増えています。だからこそ、なぜ「自分が削った」かのように語ったのか。実際の配分は、誰が、どのような基準で決めたのかを問わなければなりません。
これは一大臣の失言では終わりません。補助金適正化法は、補助金が国民の税金で賄われることに留意し、公正かつ効率的に使われるよう各省の長に求めています。支持・不支持で予算配分を変えたのであれば、この原則に反します。そして憲法15条は、公務員を「全体の奉仕者」と定めています。実際の介入がなくとも、「支持しなければ地域が損をする」と思わせる言葉は、自由な一票を萎縮させます。
地域の実情を国に伝え、必要な予算を求めることは、与野党を問わず国会議員の大切な仕事です。私も1年3か月、議員として地元の声を国へ届けてきました。例えば、闇バイト経由での強盗事件が船橋と市川で頻発していた実情を踏まえ、警察庁に仮装身分捜査という新たな調査方法を提案し、警察が同手法を採用。匿名・流動型犯罪グループへの対策費用も増額となった結果、昨年の闇バイト経由での強盗事件は船橋と市川の両市において0件となりました。しかしそれは、誰を応援したかで予算に差をつけることとは全く別の話です。
私は3点を求めます。第1に、国交省は配分の基準と経緯を記録で示すこと。第2に、議員から省庁へ予算に関する照会や要望があった場合、それを記録し公開するルールをつくること。「覚えていない」が通用しない仕組みが必要です。第3に、国会での検証です。当時の副大臣は現在、首相補佐官を務めています。任命した首相の責任も含め、与野党を超えて明らかにすべき問題です。予算は、政治家が地元に持ち帰る「お土産」でも、支持への「ご褒美」でもありません。私たち一人ひとりが納めた税金であり、必要性と公正なルールで配分されるべき、国民の財産です。
