一般ドライバーが有償で客を乗せて走る「ライドシェア」が今月から解禁となりました。東京都などの一部地域で、曜日や時間帯を限定して解禁されます。千葉県も5月から対象になるとされています。タクシーの運転手不足に加え、コロナ以降は海外からの旅行客が急増し、都市部ではタクシーがなかなかつかまらない状態が大きな問題となっていました。本八幡駅でも、私が駅で活動している最中、長い間タクシーを待っている方を見かけることが多かったので、解決に向けた一歩を踏み出せたことは素直に良かったと考えています。

 当事者の意見も知りたいと考え、船橋駅北口にいらっしゃるタクシードライバーの方にもヒアリングをしました。皆様から最も多く頂戴したのは「安全性の確保を徹底して、お客様を乗せて欲しい」というお言葉でした。必要なのは「移動の不自由」に直面している利用者に寄り添う姿勢なのだと理解しました。運送車の台数が増えることは評価しますが、安全の確保・利用者の保護等の観点も必ず議論をすべきです。そのためには運転手の適切な審査と身元確認のほか、様々な安全基準を設けることが必要だと考えます。例えば米国のUberでは、乗車すると家族と乗車状況を共有できるほか、車内でのビデオ録画も導入しています。仕組みによって不幸な犯罪を未然に防ぐことが求められています。また大切なのは選択肢が増えることなので、ライドシェアに抵抗がある人は、タクシーに従来通り乗れる環境も維持されるべきです。
 そして移動手段という観点では、バスが地域の足として大きな役割を果たしている地域もあります。こうした場所でタクシー事業者だけが展開できるライドシェア事業が解禁されても、バスを利用する国民にとってはプラスになりません。地域のバス会社なども運行が実施可能な形にすべきです。タクシー事業者のみに限定する合理的な理由はありまん。また労働者保護という観点では、自由な時間に働けるライドシェアドライバーの利点は、通常の雇用関係だと享受できる社会保障が無いという問題と裏表一体です。この点についても、企業側へ労働者との協議に誠実に向き合わせる等の保護が必要です。
 最後に指摘したいポイントは価格です。現時点ではタクシーと同じ料金になっています。これではライドシェアの特色である、ダイナミックプライシング(需要に応じて価格が変動する仕組み)による柔軟な料金設定メリットを、国民と運転手双方が享受出来ません。ニーズに応じた合理的な価格設定を広く検討すべきです。業界団体のためではなく、国民や労働者に資する政策が求められています。